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''Holy Motors'' ~「ホリー・モータース」、久々のカラックス~

 2012-07-17
ものすごい久しぶりに映画館に行ってきました。カンヌ映画祭のときから公開日もチェックしてて絶対みようと思っていたのに、気づいたら近所の映画館は今日が最終日だった。(まだどこかの小さい映画館では続くと思うけれど。しかし新しい映画の上映サイクル、ほんと早いね、フランス。特に人呼べないとすぐ打ち切られる。)

ということで、慌ててみに行ったのは、今年のカンヌ映画祭ではパルム・ドールに選ばれるのではないか予想されていたほど評判が高く、鬼才と言われたレオス・カラックスの1999年以来(って13年ぶり?)の映画なので注目を集めていた「ホリー・モータース」。

holy motors posterカンヌ映画祭期間中に新聞やネットに載っていたスチール写真にまず目がひかれましたが、公開前に街中でみかけたポスターもかっこよかった。

いや、正直言って、私としては「Pola X」が全然ダメで(っていうか、一般的・商業的にも全然ダメだったと思う)、すっかり失望していたので、今回の新作にはとても期待しつつも、またがっかりする可能性も頭のどこかに控えておくという多少の覚悟のうえ、見に行きました。その甲斐あってか(?)、ひとことで感想を言えば「とても良かった」です。ま、後半、少しダレ気味でしたが…。

しかし、「カラックスの分身」と言われるドゥニ・ラヴァン、すごいです。体力も演技力も。いろいろこなせてすごい(映画の中で)。

以下、ネタバレ含みます。
ストーリーは、リムジンに乗って出勤するオスカー氏が仕事の約束を次々こなす、というもの。
オスカー氏は大邸宅から出勤、リムジンに乗り込むと、秘書で運転手のセリーヌが「今日の約束(rendez-vous)は9つです」と告げる。後部座席においてあった最初の仕事の資料に目を通すオスカー氏。そして、リムジンの中にあった小道具を使って変装を始める…。

この仕事というのが何なのか、謎のまま。それはそれぞれ違ったシチュエーションにあり、オスカー氏はその都度、特殊メイクやかつらで変装して何者かになりきる。時には物乞いの老婆、時にはチンピラ、かと思えば父親、または病床の老人…。でもその目的はよくわからない。ただ「体の動き(geste、「行動」とも解釈できる?)の美のため」だと、オスカー氏は言う。

前半で圧巻なのは、ペール・ラシェーズ墓地の狂人、ムッシュー・メルド(!)。この人物は、カラックスが以前オムニバスの短編用に撮った映画に出てくるらしいですね。トップモデルのエヴァ・メンデスが出ている。(当初はケイト・モスにやってもらうつもりだったのが、返事がなく、カラックスが他のモデルでは納得いかず、エヴァ・メンデスのスケジュールに合わせ、撮影日程に無理矢理都合をつけて撮ったのだとか。彼女はギャラ無しらしい。)
また、後半、なんと2005年に閉鎖されたデパート、サマリテーヌの中でのワンシーンもある。そしてここに出てくるのはカイリー・ミノーグ。(実はこれをジュリエット・ビノシェがやるはずだったらしいです。ビノシェは口約束で一度OKしたものの、結局断り、ソフィー・マルソーになりかけたけれど撮影日程の調整がつかず、結局カイリー・ミノーグに落ち着いたのだとか。そしてこれもまたギャラをもらっていないらしい…。このシーンで、オスカー氏とカイリー・ミノーグの演じる女性は昔の恋人同士という設定なので、ジュリエット・ビノシェがやると大変ハマったと思うので残念。「ポン・ヌフの恋人」の橋もすぐ真下だし!しかし女優変更後にシナリオは書き換えられたというから、内容はちょっと違ったのかも?ちなみに、それまでどんな監督も叶わなかった閉鎖中のサマリテーヌでの撮影は、当時のファースト・レディ、すなわちカーラ・ブルーニの助力があったとか…。なかなかゴーサインが出なかったシャンゼリゼ大通りのフーケッツでの撮影許可も然りだそうで…それにはまったく納得。)これは偶然見つけたLe Nouvel Observateurのサイトの映画のページで読んで「なるほど」と思ったのですが、ショートカットの金髪のかつらをかぶったカイリー・ミノーグは、後から追って来た男性に「ジーン」と呼ばれ、その英語訛りといい、ゴダールの映画「勝手にしやがれ」のジーン・セバーグのよう。

見終わって(いや、見ている最中でも)オスカー氏の目的は何なのか、はたまたこの映画の主旨は何なのか…あれこれ想像してしまう映画でした。

私が想像したのは、現代の映像に対する態度・傾向への批判があるのではないか、ということ。20世紀の後半、映画はテレビにとってかわられ、商業的な落ち込みを嘆いていたけれど、今ではテレビがネット動画にとってかわられ、その商業的落ち込みを嘆いている。そして、映画からテレビ、テレビからネットへと変遷するにつれ、映像の消費速度は速くなり、製作にも時間をかけなくなり、最近は日常生活の中で本当に起こった出来事を気軽にビデオに撮ってアップロードし、誰もがみることすらできる。映像の持続時間は段々短くなり(映画は2時間、テレビなら1時間か30分単位、ネット動画は長くても10分)、人が映像を集中して見る時間も短くなる。
そんな風に考えたのは、この映画自体、なんだかザッピングみたいだったから。豹変するオスカー氏の仕事を続けてみていると、いくつもの映画(人生?)の一部を次々とみせられているよう。実際、映画へのオマージュのような要素もあったと思う(自作短編「ムッシュー・メルド」「ポン・ヌフの恋人」然り、「勝手にしやがれ」然り)。
そして、ふと思い出したのが、墓地でのシーン。墓碑名になぜか「Visitez notre site xxxx.com(私のサイト、xxx.comを訪問してください)」と彫ってある。それも一つではなかった。カラックスは、そこに何か皮肉な暗示をしのばせておきたかったのかもしれない。
そして最後のリムジンたちの会話。役目を終えて車庫に入ったリムジンが語り出すと、やがて自分たち(「モーター」)がまったく必要でなくなるのではないか…という彼らの危惧が浮かんでくる。「モーター」とは、もしかしたら車のことではなく、電動機・発電機(って、なんかアナログな感じがするので)のこと、そしてもしかしたら「モニター」を文字ったものかも…?なんて深読み。
正直、すべて聞き取れたわけではないので、何かもっと鍵となるような言葉があったのではないかという気がします。特に、リムジンの中で、ある男(ミッシェル・ピコリ)とオスカー氏の会話のところとか。

全編ところどころに、かすかな笑いを誘うユーモアが散りばめられていたり、なんだか不思議な人物像たちばかりだったり、とても面白かったです。おすすめです。

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