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ラーメンとフランス人
2009-11-25
最近、買い物して料理して…っていう時間がないとき、外食で済ませてしまうことが増えました。片付けもしなくていいし、ほんとラク。といっても、パリの外食は高くて、話題のビストロとかレストランには当然行けず、いつもベトナム料理かラーメン屋です。
共通なのは、どちらも丼ものということでしょうか。ベトナム料理の方だと、たいていフォー(牛肉と平たいライス・ヌードルのスープ)、またはボ・ブン(春雨みたいな細いライス・ヌードルに揚げ春巻きがのった丼もの)で、その後にココナツ・ミルクと餅米のデザートかバナナとタピオカのデザートというのがお決まりのコース。ベルヴィル界隈だと、これで一人10ユーロだからとても助かる。
ベトナムが植民地だった歴史のせいか、ベトナム料理はフランス人の間でもポピュラーな気がします。フォーのような麺ものでも、お箸と一緒にフォークやスプーンが置いてあるせいか、フランス人が悪戦苦闘している雰囲気もあまりない。(というか、そういう自分も、正しい食べ方しているのだろうかといつも疑問。)
ラーメン屋は、やっぱりオペラ界隈なのですが、最近はもうどこもすごく並んでますね。でも、結局私たちがいつも行くのは「ひぐま」かな。最初、Eはうどんの「国虎屋」がとても気に入っていたけど、量が少ないので、そこで延々並ぶよりも、近頃は専ら斜め前の「ひぐま」。ひぐまは国虎屋よりも庶民的だし、ラーメン屋なだけあって、入れ替えが早い。
というのは日本人的な感覚であって、中で食べているフランス人を見ていると、そうとも言えないのです。なぜラーメンのような、フランス人の食文化にとってまったく異質なものがこんなに流行ってしまったのだろうか、と不思議になってしまいます。
まず、フランス人は熱いものが食べられない人が多い。いわゆる猫舌。「出来立てアツアツをすぐ!」とか無理っぽい。
そして麺。箸を使うのに慣れている人が増えたとはいえ、スシやサシミと違って、ツルツルでなが~い麺を液体スープの中から箸でたぐって食べるという高度な技に達している人はまだ少ない。一度口に運んで済むものじゃないですからね。これは箸というより、唇を使ってたぐりよせる技でしょうか。ここで、麺が熱ければずずーっと音を出してすするのが日本人。しかし、そんな食べ方、フランス人が知るわけない。焼きそばですら時には難しいらしく、箸を頭の上まで持ち上げて、下から口に入れようとトライしていた女の子をこの前見ました。
その上、おしゃべりなフランス人。食事中の会話が途切れない。それがたとえラーメンを目の前にしていても。だから、麺がどんどんどんどんスープを吸ってふくれる。いつの間にかスープが麺より少なくなっていたりします。食べても食べても減らない不思議なラーメン。先日は、隣の男の子が箸を持ちつつも、ずーっと連れの人に話していて、私はその間にふくれあがるラーメンが気になって仕方がありませんでした。他人事ながらひやひや。そして、時々会話を切って箸で麺をたぐるたび、「あっ、とうとう食べ始めたか」と思いきや、口に入れる前にまた話し始める…という繰り返しで、ラーメンがものすごいのびていて、そこまでいくと「本当はラーメンが食べたくないのではないか?」とちょっと勘ぐってしまった次第。
でも、これだけブームになると、ラーメン屋通っぽい人がちらほら見受けられるようになりました。しゃべりながらも、ラーメンは結構すばやく食べてたり。食べ終わったら、だらだら長居しないでさっと帰る、とか。(お皿をさげられても、おしゃべりに夢中で居座るという人が多いのです。)
そこであまのじゃくな私は、ひぐまの中を見回して、のびきったラーメンを食べているフランス人がまだいるのを確認すると、内心なんとなくほっとする今日この頃です。
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