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それでもチベットを支持するべきか

 2008-03-24
フランスではここ最近、連日、チベット関連のニュースが報道されています。

最初にチベットで暴動が起こったというニュースを映像でちらっと見たときには、実際に何が起こっているのかよくわからず、後から文字で追おう…と思いつつ、どうも明確なニュースが伝わってこない感じでした。
特に、後から目にした短信のニュースでは、中国政府側が発表した犠牲者(死者)数とチベット亡命府のそれとに差があることが報道されていましたが、誰の何による犠牲者なのかがはっきりわからない。前者の発表したものが後者のそれより少ないということは、犠牲となっているのはチベット人なのだろうと推測されたのみ。

ところで、私は日本での報道のされ方がどのようなものか知りません。今回、フランスで受け取った情報だけを元に書きます。

フランスでは、「制圧的な中国の厳戒体制」が強調され、「チベット人たちが被害にあっている」という視点がニュースの背後に感じられます。報道の微妙な偏りを察知して、アレ・シュール・イマージュではテレビのニュースでの報道のされ方を比較・検証していますが、結論として、やはりチベット擁護的な観点が盛り込まれているのではないかということでした。

個人的には、今まで、中国のチベットに対する圧政のことは気にならなかったわけではないし、チベットの文化や宗教には中国と異なる独自性があるのだから、それをリスペクトすべきだと思ってきました。だから、中国政府に対するチベット人の抗議行動が憂慮すべき事態へと転換し、中国政府が軍隊を投入したと聞いて、すぐに考えたのは「中国による圧政」ということです。そして多分、そう考えた人も多くいたに違いないと思うし、振り返ってみればフランスの報道が偏っているらしいことはその表れだと思います。

さて、テレビのニュースを見直すと、15日の夜のニュースで中国政府が公開したラサの暴動の映像を流しています。しかし、中国側の発表を鵜呑みにしない態度をうかがわせる言葉遣いをしています。

私自身は、16日の朝、Rue89で、フランス人旅行者が自分のブログで現場にいたことを報告している記事の中で、チベット人たちが中国人を実際にリンチしていたことをはっきりと知りました。他にも、抗議行動に参加していたチベット人数人がスクーターに乗った中国人を引き摺り下ろし、相手が意識を失うまで殴り続けたのを目撃した旅行者の証言などが伝えられています。

今まで非暴力的な抵抗運動を続けてきたという印象のあったチベット人たちが、中国人に対して暴力を振るい、多分殺人まで行い、商店を荒らして火をつけた…とは、私にとって少しショックな事実でした。
テレビのニュースがラサの暴動の映像に慎重なコメントをつけていたのも、私と同じように「にわかには信じがたい」という反応の結果なのではないかと思います。

チベット人が最初に暴力的行為をふるったという事態がはっきりしたのですから、中国政府がラサの警備を強化したのは当然の成り行きと考えるべきで、「また中国の圧政か」と言うのは間違いだと考えられるかもしれません。

では、それでも現在のチベットを支持するべきでしょうか?
そして、フランスでは何故チベットを擁護するような報道が続くのでしょうか?

さて、Rue89が引用したフランス人女性ブロガーは、現場を目撃した様子に続いて、チベット人の女の子たちに聞いた話をそのまま書いています。
彼女は、カフェでチベット人の若い女の子5人組と知り合い、そのうちの一人が「これは僧たちのせいなのよ、暴力は私たちの文化にそぐわないけれど、仕方のないことなの」と泣きながら説明し始め、状況が悪化してきたので彼女たちの家に避難して話を聞いたのだそう。彼女たちの説明によれば、中国によって寺院が破壊されたことで、チベットの歴史が破壊されてしまった。それというのも、チベットの文化は口頭伝承が基本であり、それを文献に書いたり保存したりするのは寺院にいる僧だけ。中国政府は寺院を壊し、僧を殺すか拘束するかして、チベットの文化的歴史文献をチベット外にもっていってしまった。また、中国人たちはビジネスを重視し、彼らがよしとする経済活動をチベットにもたらしたが、チベット人にとっては金持ちになることは重要ではない。「自分よりも他人の方が大切」という文化のチベット人は、他人からお金を巻き上げてまで金持ちになりたいとは思わない。物質的に良い暮らしができれば、確かに幸せだろうけど、もっと大事なのは宗教。チベット人は金持ちになりたいのではなく、自由になりたい。昨年、ダライ・ラマ14世がアメリカで勲章を受けて以来、中国政府はチベットの民族衣装を禁止し、チベット人は中国風の服装を強制されている。着たいものすら選べない。ラサの町は近代化され、中国政府はラサに多額の投資をしていると宣伝しているが、チベット人が所有するものを奪っていることについては何も言わない。毎年、多くの旅行者が寺院を訪れ入場料を支払っているが、それはすべて中国人たちの懐に入る。ラサのほとんどの商店は中国人経営で、それはつまり、市場や雇用を左右するのも中国人ということ。職を得るには中国語を話せることが一番重要。中国人たちは、チベット人たちが英語を話すことを好まない。だから多くのチベット人が中国語を学ばなければならなくなっている。けれど、ただ話すだけで読み書きはできない…。

このフランス人ブロガーによると、チベットで中国政府への抗議行動を起こすのはたやすいことではなく、ダライ・ラマの写真を飾っているだけで刑務所か強制労働へ連れていかれてしまうことがあるそうです。

そして、彼女は、「中国政府は無辜の市民の死を告発している。それは本当のことだ。リンチを受けた中国人や、荒らされた商店の持ち主は立派な人たちかもしれない。でも、人々の感情の爆発を目の当たりにして、こうした状況では悪人・善人という線引きができないことがわかった。チベット人対中国人なのだ。チベット人の犠牲となった中国人たちは、自国政府の政治の犠牲者でもある。チベット人たちは、中国人たちが怖れてもうチベットにやってこないことを願っている」と書いています。

ところで、チベット暴動の情報を見聞きするうち、私はふと2005年秋にパリ郊外で起こった暴動のことを思い出しました。あのとき私は、郊外で車を燃やす若者たちを単純に非難することはできないと思いました。
経済的格差が是正されず社会的な不満が鬱積し、そのうえ治安の悪化でポリスが威圧的に存在する、そのような状況的背景があって生じた暴動だと思っています。

でも、そういう状況的背景の捉え方に異議を唱え、車を燃やし、警察に投石する「郊外の若者たち」は紛れもなく「悪者」であるのだから彼らを擁護するのはおかしい、非難するのが当たり前だ、とする人たちもいました。

そういう人たちは、やはり今回のチベット暴動でも、チベット人たちが「悪者」であり、彼らを非難するのが当たり前だと言うのでしょうか。

「破壊行為をしたのはチベット人なのに、それでもチベットを支持するのか?」と言う人もあるかもしれません。私の答えは「勿論!」です。チベットを支持します!

フランス人旅行者の報告は、ある「個人」が、「個人的な」状況で、チベット人である「個人」の解釈を聞いたというものであり、その話を一般化するべきではないかもしれません。でも、この一つの個人的な解釈は個別的ケースを超えて、他の多くのケースで語られた解釈、一般性に合致するように思います。それは「植民地主義」という名で批判されてきたものだと思います。

(続く…かも)
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コメント
サルコジ氏がオリンピックボイコットの可能性を示唆したことは、こちらでも速報で伝えられました。「腐ってもフランス大統領?」といったところでしょうか。その一方で普段から中国批判を持論にしている石原都知事は新銀行問題で旗色が悪く、いまのところこれといった中国批判は出てきていません。
今回のチベットの件と「ギョーザ事件」でここ数ヶ月のあいだに日本人の中国に対する印象は確実に悪くなっていると思います。わたし自身も中国に対する見方はかなり変わりました。いままで一部マスコミにより反中国キャンペーンを胡散臭く思っていたのですが、実際にこういうことが起きると中国はやはり「天安門」のときから何も変わっていないのだと思わざるをえません。いろいろな角度から問題をみることはできると思いますが、何と言っても決定的なのは建国以来一度も民主的手続きを経て政権が選ばれたことのない政府には限界があるということでしょうか。
この点で興味深いのはご指摘にもあるように中国が少数民族に対して経済発展を背景としながら「帝国」として振舞おうとしていることです。ところが本家の「帝国」の方は「民主主義」を前提として領土を広げているので、この辺りは中国が大いに誤解をしている部分なのかもしれません。グローバリゼーションが世界に拡大する中、これに呼応するかたちでマルクス主義が「甦り」つつある現代、中国が旧来の一党独裁体制と21世紀のグローバリゼーションの狭間で呻吟しているのはなんとも皮肉な現象というべきでしょうか。
【2008/03/26 02:27】 | pianoman in Matsudo #- | [edit]
サルコジはねぇ、ほんと「今更」っていうか、「やっと今頃」って感じですよ。フランス国内の政治家の間では、ボイコットの提案はもっと前から出てましたからね。まあ、この話はまた別に書きたいと思ってます。

とある日本人ブログで、この問題に関して日本では反中反共から中国叩きが更に激しくなったと読みました。それじゃあますます混乱して、まともな議論ができなさそうですね。その話を読んで、「そんな中でチベット支持を断言すると、まさかと思うけど、ネットウヨと間違われたりして…」と、ギョっとしました。

かといって、中国擁護の立場に立とうとすれば、中国の「帝国」的な振る舞い(まさにその表現、ぴったりですね)を擁護することになってしまったりして。多分本人は気づいていないんだろうけれども、反・反中反共で、例えばアメリカを批判しようという立場に立ったとしても、いつの間にかアメリカが実践している帝国主義をも擁護するのと同じことになるという罠(ってか、罠かコレ?単なる勘違いだよな)。

私はといえば、中国がどうとかよりも「植民地主義」が許せないだけですけれども。
【2008/03/27 21:45】 | shiba #h/1ZVhMA | [edit]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
【2008/03/30 06:54】 | # | [edit]
こんにちは。
日本の報道を知りたいとのことですが、私は逆にフランスの報道の方を知りたいです。

日本では、オウム真理教事件の際にダライ・ラマの評判が落ちてしまい、以後、チベット問題はほとんど報道されなくなっていました。
しかし、今回、一連の中国バッシングブームの中、復活しました。
といえば、おわかりかと思いますが、もちろん、まるまるチベット寄りの報道ばかりです。
「中国側からの情報は全部ウソで、チベット側の情報は全部正しい」という線で報道されています。
これに異議を唱えることは許されない雰囲気になっています。(このへんはフランスとは違うのではないでしょうか?)
また、オウム教との関係など、チベット側のマイナス・イメージになるようなことには触れられていません。

このような状況にうんざりしています。
私はペマ・ギャルポさんのファンですし、基本的にチベット独立を支持してきましたが、ものごとを判断する上で、必要な情報が提供されないというのは到底受け入れられません。
これでは「ジャーナリズム」は存在していません。

おそらく、日本のマスコミとしては、こちらの管理人さんのように「チベット側にも問題はあるが、だからといって…」という線での批判は訴求力に欠けると考え、単純な図式にしているのでしょう。
しかし、こういうやり方が好ましい結果をもたらすとは私には思えません。アフガニスタンがよい例です。
【2008/04/05 08:31】 | 流れ者 #rYbAsGyE | [edit]
>非公開コメントの方
気づくのが遅れて、お返事が遅くなりました。申し訳ありません。
実は、その件については私はあまりよく存じ上げません…。もし何かわかったらご連絡します。

>流れ者さん
フランスでは以前から中国国内における人権問題が新聞などで取り上げられていました。「思想犯」と言ってよいでしょうか、政府の方針にそぐわない考えのグループや、政府に批判的なジャーナリストを牢屋にいれること、そして死刑が頻繁に行われていることなどが、人権問題に敏感なフランスではショッキングな事実であり、これを問題視する報道が時々メディアに現れていました。
チベット問題は、フランス国内で以前から広く知られていたものではないかもしれませんが、今回の件は、今までの報道の経緯からできている「中国は人権をまもらない国」というイメージに合致するため、多くのフランス人は中国に非があるという見方をすんなり受け入れてしまったと思います。また、メディア側も同じで、そういう中国のイメージが先にあるので、本文中に書いたように、中国政府に対して懐疑的な態度が見え隠れする報道の仕方をしています。

なので、フランスの報道も、日本と同じく中国政府批判に偏っているかもしれません。ただ、日本と違うところがあるとすれば、フランスは、中国との戦後責任の外交問題や餃子問題といった文脈がなく、以前から一貫して人権問題に焦点をあてた中国批判をしているところではないかと思います。逆にいえば、フランスの中国批判は(対象点が絞られているので)非常に明確でシンプルなのに対し、日本ではそれが複雑でデリケートな問題を含むため難しいということかもしれませんね。

しかしだからといって、分かりやすくすればいいというものではないと思いますし、逆に、単純化してはいけないと思います。その点は流れ者さんに全く同感です。複雑な問題であるからこそ、議論を広げ、時間をかけて考えていかなければいけないのだろうと思います。

日本のジャーナリズムと言論の自由に対する意識に、私はちょっと疑問を感じています。
【2008/04/05 10:01】 | shiba #h/1ZVhMA | [edit]
>日本のジャーナリズムと言論の自由に対する意識に、私はちょっと疑問を感じています。

現在、多方面から引っ張りだこのあるフリージャーナリストが以前テレビでこんなことを言っていました。

「真実であっても北朝鮮に有利になるような情報を流す奴はけしからん」

おそらく、これが日本のマスコミの一般的な考え方なのだと思います。
つまり、政治的な目的に応じて情報を管理・操作するのが自分たちの仕事だと思っているようです。
要するに、これでは中国や北朝鮮と同じになってしまいます。

今回、管理人さんはチベット側の暴行情報を記載していますが、「そういうことは書くな!」ということになります。
しかも、ブログ・サーフィンをしてみれば気付くと思いますが、「左翼」や「リベラル」と称する人たちの中にもそういう主張をする人がいるようなありさまです。

「まず、真実を知りたい」と思う人、ものごとを多角的にとらえようとする人、筋を重んじる人にとっては、息苦しい言論空間が出来つつあります。残念ながら、これが今の日本です。
【2008/04/06 10:05】 | 流れ者 #rYbAsGyE | [edit]
大津留公彦のブログ2の大津留公彦です。
弊ブログに貴記事を紹介させて頂きました。
よくおじゃまするサイトに登録させて頂きました。
【2008/04/06 13:02】 | 大津留公彦 #- | [edit]
>流れ者さん
>要するに、これでは中国や北朝鮮と同じになってしまいます。
同感です。
しかし、フランスでもメディアの自己規制・自己検閲は全くないわけではありません。2002年の大統領選で極右政党党首が決選投票に進むという衝撃的な事態となったときには、メディアによる情報・世論誘導のせいだ、という批判もありました。
最近は、自由な報道を求めて、フランスではインターネット上でインディペンデント系ニュースサイトが続々登場しています。これからインターネットによる情報発信の新しい形が発展することを期待しています。
それとは別に、「ジャーナリズムとは何か」が問い直されなければいけないときにきているのかもしれませんね。

>大津留公彦さん
ご紹介いただき、ありがとうございます。
今回のチベット問題に関しては、正直に言って知らないことがありすぎて、浅はかな知識と情報でチベット支持を断言してしまっていいのか多少迷ったところがありましたが、歴史的経緯の事実がどうであっても、今回の件で見えたものの中に、自分が一貫して許容できないものがあると感じ、思い切って「チベット支持」を宣言してしまいました。
拙い思考と文章ですが、どうぞよろしく。
【2008/04/07 01:24】 | shiba #h/1ZVhMA | [edit]
はじめまして。知人のmixiの日記に紹介されていたのでお邪魔しました。1989年6月の天安門事件当時中国に語学遊学していました。ブログを読ませていただいて、当時の「待業青年(職のない若者)」たちが醸し出していた雰囲気が甦りました。郊外で車を燃やすという行為も似ています。。。鬱屈したエネルギーが暴走する怖さは 人種や場所によらないのかもしれませんね。
興味深いのは 当時の中国では「人民日報」やテレビ報道とは別に「口コミ」のネットワークが機能していたことです。(まだインターネットの時代ではなかったので)メディアについて いろいろ考えさせられたことを思い出します。
【2008/04/08 12:47】 | #rFoPvg5E | [edit]
>行さん
はじめまして。コメント、ありがとうございます。
ダンボール肉まん事件があったとき、日本の某ニュースサイトで在中国の日本人女性が意見を述べていたのを読んだことがあるのですが、「中国人も人民日報は党の新聞だから中身はそういうものとして読み、市井の人々は口コミを信用している」というようなことが書いてあり、なるほどと思いました。

ある日爆発するものが、単なるわがままな怒りや不満ではなく、自分が世界の中で「人間」として存在するために不当と感じることへの反発が鬱屈したものであるのなら、それは社会を変えるためにとても重要なことだと思います。どこまで暴走してしまうか、それはまた怖いところですが…。
【2008/04/08 22:51】 | shiba #h/1ZVhMA | [edit]
はじめまして、よく拝見しております。これからも遊びにきます。
【2008/10/22 07:44】 | hanae #- | [edit]












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  • それでもチベットを支持するべきか【大津留公彦のブログ2】
    フランス在住の人のフランスから見たチベット問題が興味を引いたので紹介します。 shibaさんというパリ近郊在住の学生さんのブログです。 L\'ECUME DES JOURS ~日々の泡~ちらしの裏のメモ
【2008/04/06 20:32】
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