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スト、いろいろ (4) ~ストとメディアと世論~

 2007-11-19
国鉄SNCF、およびパリ市内交通RATPのストに突入してから5日が経過(本日6日目)。

パリ市内の交通機関は、一日目は本当に全滅って感じ(無人運転の地下鉄14番線を除く)で、その後、徐々に稼働率が上がるか…と思いきや、週末いっぱいまでは動かない路線も多かったです。今日は先週よりちょっと動いているみたい。

今回のストは、1995年のストとよく比較されます。というのはストの理由が一緒(鉄道職員の年金特別枠の改革への抗議)であるため。しかし、ちょっと違う背景があり、そのため、一般市民の反応がずいぶん異なると分析されています。

3664922837-sixieme-jour-de-greve-dans-les-transports-negociations-en-vue.jpgまず、95年は、民間企業に勤める一般市民の年金改革が先に行われ、世論はこれに不満を抱いており、鉄道職員ストをきっかけとした年金制度の見直しに期待しているところがありました。しかし、改革がだいぶ進められている今回のストでは、鉄道職員の特別枠は少数派となっており、年金支払い期間の一律化、すなわち「平等化」を認める声が世論に多い。
また、95年の改革は、国民の関心が向いていないうちに着手されたため、政府に裏をかかれたように感じる人が多かったそうです。ところが、今回は、大統領選挙期間中からサルコジ(というか、彼に限らず各候補者)が公約に掲げていた改革であり、サルコジが当選したということはその改革案も国民に認められたと考えることができます。

そのようなわけで、一般世論は、「鉄道職員が改革に反対してストをしているのは正当でない」という考えに傾いている模様。

先週水曜(14日)のル・フィガロでは、「57%のフランス国民は、内閣が譲らないことを願っている」としています。
でも、これ、記事のタイトルがweb版とアナログ版で違うような気がするな。内容もちょっと違うし。私が紙面で見たのは「61%のフランス人がストに反対」だったような…。そんで、サブ・タイトルが「8?%(はっきりした数字を忘れました)が、内閣が譲らないと思っている」だったと思う。勿論、「譲らないことを願っている」のと「譲らないと思っている」のは違うわけで。衝撃的で都合のいい方(誰に?)をでかでかと見出しに持ってくるわけね…と思いました。

この世論調査の結果ですが、調査機関によって数字が異なります(当たり前ですが)。経済紙、レ・ゼコーでは、ストに反対しているパーセンテージが55でした。これはル・フィガロ自身、記事中(紙面の)で言っているのですが、レ・ゼコーの調査では、質問中で「スト(greve)」ではなく「抗議行動(mouvement)」という言葉を使っており、これが答える人の心理に多少影響しているのでは、とのこと。

1755112122-des-milliers-de-manifestants-paris-contre-le-blocage-des-transports.jpg昨日の日曜には、パリでスト反対のデモがありました。「メトロ、働け!」「ストをストップ」、ときに「労働組合はファシスト」といった極端なものまで、スローガンを掲げての行進。また、大学の封鎖に反対する学生もこれに合流して意思表明。主催者によれば2万人、警察によれば8千人が集まったそうです。(ブーブー言っていても、わざわざデモをするまでの気概のある人はそうそういないだろ…と思っていたけど、結構集まったんですねえ。)

昨日の夜、討論番組を見ていたら、歴史学者で経済学者のオッサンが「70%の国民がストに反対している!」と言っていました。…って、どっからでてきたんだろう、その数字。いつのまにか跳ね上がってる?新しい世論調査の結果なのだろうか。

さて、ストの始まる前から、世論がストに反対であるというニュースがメディアで流れていました。それでも疑問に感じるのは、卵とニワトリじゃないけれど、世論が先かメディアが先か…多分相乗効果なのではないかと思いますが、メディアが世論形成に一役買っているのではないかということです。そしてそうであるのは多分間違いない。
テレビで、ストに怒っている人の声がよく流れているけれど、「みんなそう思ってるんだから」という意識のもと、「ああほんとうにストには頭にくる!」とカメラの前で率直に言うことができるようになったのではないかという気がするのです。それがまたテレビで流されて、「やっぱりみんなそう思ってるんだ」「みんなそう言ってるんだから、そう思うのが当たり前」と確信する、そしてまたインタビューを受けたら「スト反対!」と言うようになる…という循環かつ相乗の効果があるのではないかと思います。

最近、本当に、テレビのニュースではスト反対派が圧倒的な印象。先日、たまたまチャンネルを変えた先のM6のニュースで、「Allez, jusqu'au bout!(最後までやり遂げろ!)」とストを応援する一般市民の声を聞いたとき、別の話題かと思ってしまったくらい。それくらい、「みんな」がストに反対しているみたいな雰囲気。本当はストを応援している人もいると思うんだけどなあ。最近のメディアの反スト傾向について、リベラシオンの記事「Les JT cassent la greve」を読むと面白い。

ストに対する怒りというのは、まず、いつも通りに進まない、問題(交通手段がない)解決の努力と苦労を強いられるということにあるはずで、頭にきたり嫌気がさしたりするのは当然。問題は、「その怒りがどこに向けられるか?」。一番の矛先は、まず、直接的起因となっている、ストをやっている人たちでしょう。でも、ストをやっている人たちに共感していれば、別のところに向けられるはずです。そのとき、内閣に不満があれば内閣が的となるでしょう。実際、95年のときがそうだったと言えます。

ストに突入する直前、各紙の社説で、やはりこのことが鍵になっているという見方が多かったようです。すなわち、世論調査によると今回のストには正当性がないという意見が多いが、ストが長引けば、最近の漁業組合のストに見られたような石油高や物価高などに対する国民の不満と一体化して、矛先が内閣ならびに大統領に向けられるのではないか…と。でも、ポピュリストで世論に気をつけてきたサルコジが、世論の流れが自分に不利になるような状況を簡単に許すわけがない。やっぱりメディアを道具に使うだろうし。

確かに、ストの理由の正当性に疑問をもつ人が過半数なのかもしれませんが、そのことと、ストによる不便さへの怒りは区別されるべきだと思います。実際、先に触れたル・フィガロとレ・ゼコーでの世論調査の結果の違いからもわかるように、「スト」に対する反感と、「抗議行動」に対する反感には差があるはずです。もしメディアが、駅のプラット・ホームに立つ人々、つまりストの「犠牲」となった人々の声ばかりを拾って流しているのなら、この二つが混同されている(もしかしたら意図的に)されているような気がします。なんとなく「感情」を利用されているような感じ。

「スト」に対する反感がなく、ただ純粋に「鉄道職員の抗議には正当性がない」というのだとしたら、どうなのでしょうか。ストを抜きにして、本当に反感を持っているのでしょうか。もし鉄道職員が現在のようなスト以外の抗議行動を起こしているなら、国民のほとんどが無関心を示すのではないか…なんて考えてしまいます。(って、ストは、直接関係のない人の関心を起こすための手段でもあるわけなので、それでは意味がないかもしれませんが。)

そこで質問:どうしてみんなオペラ座のストには反対しないの??
彼らも「特別枠」の廃止に抗議してストをしているんですけど。そのことについては、メディアでほとんど話されない。それに、どうも国民は全くといっていいいほど無関心らしい。

ところで、ストに突入する少し前、SUD Rail(鉄道職員組合の中でも急進派)と 公共・交通機関利用者連盟 (FUT-SP)が、別のストのあり方を提案。どんなストかというと、乗車賃を無料にするスト。これは、ヨーロッパ人権裁判所(CEDH)が合法であると認めた事例から生まれたもの。以前、トルコで、料金所の人たちがストとして無料で車を通過させたことがあり、これが労働組合の抗議行動としてCEDHに認められました。フランスの国鉄では現在のところ、こうした行為はストの一環とは認められておらず、「職業上のミス」として重い処罰を受けてしまうそうです。そこで、労働組合が、CEDHの判例をもとに、こうした無料ストが認められるように討議を求めたとのこと。利用者連盟もこれを歓迎。ただし、実際にこうしたストが可能となるまでは長い時間を要するそうです。また、SNCFは、切符所有者に対して安全を保証しているので、事故があったときに問題がある、としています。更に、このストは一定の職業、つまり検札係にかかっており、彼らがストに参加しなければ実現できません。でも、ひとつのストの形として認められれば、スト反対派もずいぶん意見を変えるでしょうね。

参照:
Liberationより

「Rouler gratuit les jours de greve ? Pas si simple」
Rue89より
「Antigreves: la video de la vraie manif de droite」
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