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「暗黒の木曜日」、長い一日 (続き)

 2007-10-22
しかし、朝動いていた地下鉄が、夜も動いているとは限らない。

帰りは、朝のニュースで3分の1の稼働率といわれていた4番線に乗ろうと、シャトレ駅に向かった。ホームにはすでに人がいっぱい。次の電車までの待ち時間を表示する電光掲示板には、「7分」となっている。そして、次の次の電車まで「76分」…?乗れるかどうかわからなかったけれど、とりあえず次の電車を待つことに。ホームにいる人々の表情を見まわしてみると、無心に本を読む人、心配そうに線路の先をのぞき込む人、いらいらと爪を噛む人、電光掲示板を見ながらにやにや笑っている人など…。しかし、10分経ってもあと「4分」。結局20分ほど待たされた。

電車がホームに入ってくると、ブーイングと口笛と拍手が沸き起こった。窓越しに見えた先頭車両の中は、隙のないほど混んでいるという感じではない。これなら乗れそう…と期待したのだが、扉が開くと同時に乗り込もうとする人波と、降りる人とがぶつかりあい、気がつくとはじき出されてしまっていた。私は片足しか乗せられない状態。満員電車に乗りなれていないフランス人、奥の方が詰まっていなくて絶対空きがあるはず…と、小声ながらも思わず「進んでください!」と言ってしまった。すると、一人の女性から「もう無理よ、空きなんてないわよ。無理よ、マダム」と返事。私の隣りで、同じく乗れるか乗れないかの状態だった女性が「中にいる人はそういうのよね」。私は、「甘い!これくらいで『もう空きがない』とか言うな!」という思いが頭をかすめ、「あなたがトーキョーを知っていたらね…」とひとりごちてしまった。絶望的になりつつ、他の人を見習って、入り口の上に手をかけて無理矢理押し入った。気がついたらギリギリ乗れていた。なかなか扉を閉める合図が鳴らなかったのも助かった。時間をかけてじりじりと押し入ったおかげで乗れたのだ。やっとベルが鳴ったものの、全ての扉が完全に閉まるまでは発車しない。私に「無理よ」と言ったマダムは、「何が起こってるの」「早く出発してよ」「早く」「ああ、クソッ!…あら、ごめんなさい」「ごめんなさい、ごめんなさいね」「もう次で降りるわ」…と、ずっとブツブツ言っている。パリでは、こういう状況でこういう人って必ずいるもんだ。そんで私はこういう人に一番イラつかされる。走り出してからしばらくして、急ブレーキがかかった。人々が雪崩れかかり、「キャー!」「アイユ!(痛いときの叫び声)」とそこここから悲鳴が。「ごめんなさい、でもどうしようもなくて」「大丈夫?」「なんで止まるのかしら!」なんて言葉がそれに続く。乗車率120%(だっけ?)の東京の朝の通勤ラッシュの電車では、こんなこと(ブウブウなにかしら言いつづけたり、悲鳴をあげたり)ってないよな…。東京の人は毎朝のことで慣れてしまっているのか、それとも文化の違いか…。どんなにギュウ詰めになっても、電車に大きく揺られても、小さなため息がもれる程度で、むっつりと重い沈黙がたれこめる東京の朝の車内を思い出し、今の状況と比較して、「こんなに違うなんて」と、なんだかおかしくなっしまった。

3駅目で、停車して乗り降りが終わり、扉が閉まった後になって「ここで降りるはずだったのに!」「降ろして!!」と叫ぶ人がいた。少しパニック状態に陥っているような声だった。周囲の人は「降りる人がいるよ、扉を開けて!」「もう無理ですよ」などと言っている。私の隣りにいた青年は「大したことじゃないじゃない、一駅くらい歩けばいいのに」と苦笑していた。結局、そのまま発車し、「次ではちゃんと降りる人が出られるように、みんな、準備しよう」と誰かが言うと「身体的にね」「心理的にも」と応える声が。次の駅では、ホームにいた人が我先にと詰めかけようとしたところ、扉付近の人たちが「降りる人がいるから、待って!」「降りる人がいるよ!」「この子、降りるよ!」などと口々に声をあげ、ホームにいた人たちもさすがに無理矢理乗ろうとはしなかった。

停車するごとに、扉が閉まらなかったりなかなか発車しなかったりした。途中、反対方向のホームでは、終着駅で警察と乗客の衝突があったため、運行を取りやめたというアナウンスが流れた。

車内で、誰かが「サルコジのせいだ!そうだろ?」と叫び、笑いが起こった。「勿論そうだ!」と言う人もあった。もう少し遠くで、別の誰かが「鉄道職員が自分達の特権を執拗に守ろうとしているのがおかしいんだ」と、怒りをにじませながら真面目くさった声で言った。これに対する反応はなく、一瞬、車内は静かになったように感じられた。私の背後にいた青年は「なに、政治の話をしてんの?やめてくれよー、頼むから、こんな状況で…」と笑った。隣りにいた青年は「ホントだよね」と請け負い、二人で「とにかくもっと働けっていうんだろ」「もっと疲れるためにもっと働く(Travailler plus, pour crever plus)」と言いあって笑っていた。

他の駅では、ホームで男性が何やら叫び、扉付近の人たちが爆笑していた。よく聞き取れなかったのだが、「俺をおいていかないでくれ、サルコジよ!」と言っていたようだ。

ようやく目的の駅につき、そこからは約1時間ほど歩いて帰った。普段歩かない大通り、通ったとしても自転車で駆け抜けてしまうので気がつかなかったレストランや小さなカフェ、バーなどが沢山ある。「こんなところにアフリカ料理店が」「こんなバーもあったんだ」と、キョロキョロしてしまった。いつもはどんな風なのかわからないが、多くのレストランやバーの中に、やたらと人が集まっているような気がした。なんとなく何かのイベント(例えばヴァカンスの始まりとか「音楽の日」とか)があるときのような、ちょっとお祭り気分な雰囲気があったように思う。

ストで混乱があったパリの中、フランス人のある種の柔軟性と、人生を楽しむ逞しさを改めて感じた。私はやっぱりまだまだフランスが好きかもしれない。
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コメント
東京の満員電車を体験した事はないけれど、読んでいて、こういうところが私も好きだなあ~フランスとフランス人。と思いました。
まだまだ、まだまだフランスが大好きなままです。
【2007/10/23 04:33】 | yuko #- | [edit]
フランス人の満員電車、面白かったです。といって、何度も乗りたいとは思わないけど^^;
【2007/10/24 22:28】 | shiba #h/1ZVhMA | [edit]












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