で、しっかりヴァカンスの季節なわけです。
学校の夏休みは7月4日から。
私の大学の先生は、5日から息子さんとオーベルニュの別荘へ行ってしまうらしい。近所に住むこの教授は、ヴァカンス前に渡したい本があるのでうちに寄りなさいとメールをくれた。ちょうど彼のうちで9月の初めに開催される夏のセミナーの打ち合わせがあるというので、訪問してみた。一般に「Universite d'ete」といわれるもので、セミナーというか、夏合宿といった感じ。田舎に泊まって(つまりカンヅメ)、一日中講義を聞いたり討論をしたりするものらしい…と、勤勉でない私にはあんまり気乗りしない話である。それも、自分の興味ある主題ばかりとは限らない。それが7日間も続くとなると、日常リズムを崩してでも行くべきかどうか、迷うところだ。これがかつての音楽サークルの夏合宿なら喜んで行ったのだけれど…(最終日には、飲みすぎのせか、必ず声が枯れていましたっけ。ごめんなさい)。
とりあえず、本当に行くなら、バイトもやや季節はずれの休暇を申し出なければいけないし、夏合宿には保留付きで参加を申請。打ち合わせに行ってみたら、参加者リストを手にして連絡先を網羅しているような、実際にオーガナイズに関わっている人がほとんどだった。こちらは何も口を挟むことなし。打ち合わせは、教育省から出る補助金うんぬん、実費うんぬんのことでもめた。その支払いシステムがよくわからないので、やり取りを眺めているだけで終わってしまった。ああ、本当に参加して大丈夫なのか?
他の合宿参加者々が三々五々帰り始める中、なんとなくきっかけを失って、そのまま居座ってしまった。最後に女性陣ばかりになると、食事の用意のことに話が及んだ。なんでも、料理人を2人ほど雇うが、100人以上の参加者の食事を作るのには補助が必要だし、遠方よりの来客が多数あり、彼らのことを考慮してフレンチばかりではきつかろうから他の料理も出そうとのことである。中華とかスペイン料理などが提案されたが、他方、炊き出し係や皿洗い係を調達しなければならないとのこと。これは本当に「合宿」のノリになってきたなあ…と思っていたら、教授夫人に「あなたも日本料理を作ってよ。餅でもつく?それとも寿司?」と冗談でつっこまれた。ひえ〜〜〜料理は苦手だよぅ〜〜。ああ、本当に参加して大丈夫なのか??
まだ外は明るかったのでそれほど気にしていなかったけれど、気がついたらとうとう夜の8時近くになり、「じゃあ、うちでご飯を食べていく?」みたいな雰囲気になった。さすがに私はおいとましたけれど、オーガナイザーたちはまだまだ話が終わらなそうだった。
で、教授が渡したかった本とは、どうやら最近彼が出版した本だったらしい。台湾と日本に滞在した間に書いた日記をまとめた本だった。うちに帰って、ぱらぱらとつまみ読みをした。一部ではくすくす笑いしながら、一部では共感しながら、また他の個所では驚嘆しながら。驚嘆というか、すごい勘違いだよ、と思ったのは、雪の降った2月のある日、街中に人影があまりなく、ほとんどの人がテレビに夢中らしいというのだが、それが「東京での相撲の最終日」だから、と…。いや、みんなテレビに張り付いてるかもしれないけど、相撲を見てるわけじゃないから…。
本の中で、渋谷の駅の裏で飲んだとか書いてあるのを読んで、なんだか東京が懐かしくなってしまった。蒸し暑さとか、暑気払いに飲むビールとか、夜のネオンとか、ビルと群集に埋もれて感じる孤独なような仲間に囲まれているような不思議な気分とか。
でも、この夏休み、日本には帰りません。
といって、何をするか別段決まっていないのだが。「ヴァカンス(vacances)」とは「空いた」という意味の「vacant」からきていて、すなわち、日常からぽっかり空いた時間のことだと思うのだけれど、今のところ予定がなく、本当にぽっかりと空いてしまいそう。といっても、私の場合、日常的にちょっとずつぽっかりと空いているんだけれど。
それはともかく、世間は夏ということで、フランスのみなさん、bonnes vacances !