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サルコジ的遺伝学

 2007-04-07
先週、立ち寄った地下鉄のキオスクでPhilosophie Magazine(「フィロゾフィー・マガジン」、即ち、そのまんま「哲学雑誌」)という雑誌の表紙が目についた次の瞬間、手にとってまじまじと見てしまった。20070407155642.jpgなんとニコラ・サルコジとミッシェル・オンフレイが対談している!政治思想がまったく異なるはずの組み合わせにびっくり。よく見たら、タイトルもしっかり「敵同士」とうたってある。スラヴォイ・ジジェクのインタビューも載っていたりして、ちょっと興味をひかれ、買おうかどうしようか迷った末、その日は見送り。翌朝、やっぱり買おうと思い、通りかかった同じキオスクで探したのですが、雑誌は姿を消していました。残念ながら断念。

数日後、同居人に「サルコジが優生学的な発言をして問題になっているらしいよ」という話を聞き、後でル・モンドのサイトを見ていたらそれに関する記事が出てきました。問題の発言は、なんと、買い逃したあの雑誌のあの対談の中で出てきたとのこと。やっぱり買えばよかったね…。
Philosophie Magazineのサイトで読めるのは、残念ながら対談の一部だけ。

問題の発言とは、以下のこと。

「私としては、どちらかというと小児愛好家に生まれつくという考えですね。それに大体、この病気の治療法がわからないというのが問題ですよ。フランスでは毎年1200から1300人の若者が自殺していますが、両親がをちゃんと面倒を見ていなかったからということではないんですよ!そうではなくて、遺伝的に、彼らには脆弱性があり、前もって決まっている苦しみがある。喫煙者を御覧なさい。ある人は癌になり、ある人はならない。癌になる人は遺伝的な肉体的弱点がある。状況がすべてではない、先天的な部分が大きいのです。」


日本だとどうなのかわかりませんが、フランスでは、人間のある側面に関して「遺伝によって決まっている」と述べることは、かなりデリケートな問題。精神病理や犯罪についてなら尚更です。精神病理学において器質的病因論に異議を唱えたジャック・ラカン、狂人と呼ばれた犯罪者と精神病者について論考を展開したミッシェル・フーコーを輩出し、その考え方を広く受け入れた国ですし。遺伝学についての発言には慎重な国(のはず)。

ル・モンドの記事によると、雑誌マリアンヌで遺伝学者アクセル・カーンもこの発言を非難しているとのこと。「複雑な行動を指令する遺伝子、例えば攻撃性、暴力、非行、自殺傾向のある抑鬱などへ導くような指令遺伝子があるという考え方は、馬鹿げているし間違っている」と述べているそうです。「UMPの大統領選候補者〔=サルコジ氏〕によって追認されたこうした考え方は、彼の観念がネオコンに結びついていることを裏付けるものである」とカーン氏。また、自殺について討論するサイトでも、この発言が問題にされているとか。

極右のジャン-マリー・ル・ペンでさえ、サルコジ氏の発言にみられるような犯罪遺伝学的な考えを否定しています。曰く、「もし犯罪を起こさせる遺伝子が私たちの内に潜んでいるのだとしたら、自分の為すことに責任がないということになる。そんなことはありえない、彼は間違っているに違いない。」

この発言をめぐって、フランソワ・バイルー、セゴレーヌ・ロワイヤルからも批判がとんだらしい。
自分の本の出版記念に南仏でサイン会を行った、当のニコラ・サルコジは、今日、フランソワ・バイルーとセゴレーヌ・ロワイヤルはピリピリしすぎているとして、この問題について議論を起こすつもりはないことを表明。「それぞれ、落ち着きを失わず、自分たちの政策案に打ち込むべき。他の候補者を攻撃することで世論調査の数字があがるわけではない」とのこと。

しかし、問題になったような考え方と政策案が無関係とは思えない。
ル・モンドの記事にリンクのあったミシェル・オンフレイのブログに、次のような文章がありました。

「このとき〔対談の途中〕、右派的な形而上学、右派的思想、右派的存在論をそこに感じた。世界と無関係な純粋観念の存在である。悪、善、善人、悪人。そしてもっと続けられるだろう。熱心な者、怠け者、働く者、保護を受ける者、各人が受け持ちの役をこなす演劇のようなもの、すべてを整える運命によって予め書かれた演劇のようなもの。運命、またはお望みなら神でもいい。そこで、憲兵、警官、裁判官、兵士、軍人、そしてそれに対面するのは、犯罪者、非行少年、違反者、敵。いつか、すべての平和を壊す戦争の論理。」

これを読んで、自分が何故ニコラ・サルコジを嫌悪し、反サルコジであるのか、そして自分が日々何に対して抵抗を感じているのかを再認。
哲学指向と政治指向は無関係ではないよ(っていうか一体だよね)。

参照:
Yahoo Franceより

「Nicolas Sarkozy ne veut pas polémiquer sur la pedophilie」(Reuters)
Le Mondeより
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