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豚のスープ配給問題

 2007-01-07
この頃、路上生活者支援関連のニュースが取り沙汰されていますが、パリでは支援団体による「差別」が問題になっています。

20070107174622.jpg昨年末の12月28日、パリ警視総監は、ある団体によって配給されている豚のスープが「差別的である」として、それを禁止する条令を出しました。この支援団体は「SDF-Solidarite des Francais(フランス人の連帯)」という極右寄りの団体。2004年冬からパリでスープの配給をしています。

その後、この支援団体がスープ配給の許可を求めて地方行政裁判所に訴え出ました。実は、これより以前の12月22日、パリ警視庁が発行した同条令が、行政裁判所の急速審理により無効と判断されていたのです。
1月2日、豚のスープ配給は「公共の秩序を乱すものではない」「明確な差別行為ではない」として、パリ行政裁判所は新たに禁止条令無効の判決を下しました。
パリ市長ベルトラン・ドラノエは、この決定に驚きを表明。2004年6月、「ムスリムとユダヤ教に信仰のある人たちを故意に除外している」として、パリ市議会は豚のスープ配給の禁止要請を議決しているとのこと。ドラノエ市長は、こうした支援団体の「異人排斥のにおいがする率先的行動」を前に、すべての差別的行為に抵抗するパリ市の意志を改めて強調、パリ警視総監が上訴することを望むと発表しました。
また、反人種差別団体「MRAP」は、パリ行政裁判所の判決に対し「怒りと失望」を表明、反差別最高機関(Halde)に提訴しました。
しかし、当該支援団体のフレデリック・ピション弁護士は、ラジオ局フランス・アンフォにて「団体の意図について多くのことが推測できるだろうが、明確な差別があったことは一度もない」と反論。「限定された宗教または人種(…)に属しているという理由で、スープや洋服の配給を誰かが拒否をされたなど、一度も確認されたことはない」そうです。

1月4日、内相は、パリ行政裁判所の判決を受け、最高行政裁判所の役割を担う国務院に提訴。
翌5日、国務院は地方行政裁判所の決定を覆し、豚のスープ配給禁止を認める判決を下しました。国務院は、パリ警視総監による条令は、表現の自由に対して「深刻で明らかに不法な」侵害ではない、と判断。
この裁判で、提訴した内相側は、スープの配給が「差別的」であり、公共の秩序を乱す可能性があるとみなしています。更に、内相側ジャン-フランソワ・ブーテ弁護士は「SDF-Solidarite des Francais」のインターネットサイトにおける文章(「Pas de soupe, pas de dessert, les notres avant les autres」)を引用、反差別最高機関が豚のスープの差別的側面に動揺したこと、パリ市議会の決議などに言及。
反対に、「Solidarite des Francais」側のブリューノ・ル・グリエル弁護士は、内相の提訴は承諾しがたいとしており、「いかなる差別的事実も報告されていない」し、ムスリム又はユダヤのいかなる団体からも抗議を受けたことがないと主張。また、グリエル弁護士は、「ムスリム信者が豚を食べないというとき、他のものを提案している」とし、「伝統的に豚の脂のスープは貧者のスープ」であり「豚を食べたくない人は、ムスリムの慈善団体へ赴くことができる」と述べました。
パリ市長は国務院の決定を歓迎。国務院は「我々の共和国原理の非常に明確な解釈を表した」として、満足の意を伝えています。

参照:
Yahoo Franceより

「La "soupe au cochon" n'est pas raciste, dit la justice」(Reuters)
「Bertrand Delanoe denonce la reprise de la distribution de la "soupe au cochon"」(AP)
「Le Conseil d'Etat saisi sur la question de la "soupe au cochon"」(Reuters)
「Le Conseil d'Etat refuse la distribution a Paris de la "soupe au cochon"」(AFP)
さて、差別的行為には敏感なフランス社会。時にはそれが「過剰反応」でないかどうか、関連ニュースはなるべく慎重に受け取りたいと私は思っています。
で、今回の豚のスープの件では、問題の慈善団体が「極右」といわれているけれど、実際どうなのかよく知らなかったし、一応団体側のことも考慮してみて、まあ豚肉モノを食べたい人もいるだろうし、豚肉は安いので食事を用意する団体にとっては経済的な理由もあるかもなーと思ったりもしました。配給される食事に二つくらい(肉か魚か、とか)の選択があればいいのだろうけど。

ところで、ニュースの中で、国務院に提訴した内相側弁護士が「SDFのサイト上の文章を引用した」と記述されている部分がよく把握できず、ちょっと調べてみました。まず、「SDF」というのが、普段よく聞く「sans domicile fixe(ホームレス)」の略語と勘違いしていたので、それが理解を妨げていました。これ、問題の支援団体「Solidarite des Francais」の頭文字をとった略語でした。更に、引用された一文「Pas de soupe, pas de dessert, les notres avant les autres」は、直訳すると「スープはなし、デザートもなし、他人のものよりも先に自分達のもの」なのですが、いまいちピンとこない。そこで、実際にこの文章が掲載されているページを探してみました。これは、PDF形式なのですが、「Solidarite des Francais」作成の「fiche pratique」という「実践用資料」とでもいったページの最後に出てきます。このページには豚のスープの作り方、配給の仕方が書かれています。実は、私がこのページを見つけたとき、ニュースに出てきた「SDF」が団体を表す略語だと気づいておらず、資料ページがこの団体によるものだと知らずに読んだのですが、スムーズに事を運ぶようにと注意を払われたマニュアルなので、「フランスちっくじゃないなあ」とちょっと驚いて読み進めました。最後の方で団体の名前が出てきたのですが、その辺りにくるとはっきり排他的性格が現れています。曰く「我々と共に夕食をとる唯一の必須条件、それは豚を食べること」。また、団体のメンバーでなければ入会を勧め、団体メンバーのためだけでもすでに物資が充分でないことを理解させなさいと書かれています。そして「チーズ、デザート、コーヒー、洋服、お菓子〔これらはスープの後に配るよう指示されている〕は豚のスープに伴なうので注意」とあり、その後に例の文章がきますが、この文脈からいくと「スープを受け取らない者にはデザートもなし、他に属する者より我々に近い者が優先」という意味になります。
直訳しても意味がちゃんとわからなかった時点でも「慈善行為の中でなにやらエゴイスト的だなあ」とヘンな感じがしたのですが、いわんとしているところがはっきりわかって更にショック。
で、「SDF-Solidarite des Francais」のホームページも見つけました。「puorquoi(何故)」というページをみると、フランスの国家はモロッコやセネガル、アルジェリア、第3世界へ支援金を送り、移民女性とその子供への支援にお金を費やしている、お金はあるのに我々の貧しい民には費やされない、ということが書かれています。これはやはり極右的思想だし極右の論理。かなり不快な気分にさせられました。

ところで、このホームページの中のある項で、共和国原理としてライシテ(非宗教的性格)を掲げておきながら豚のスープ配給禁止を公的に認めるのことへの疑問に触れてあり、それは反論として一理あるかも?と思いました。でも、彼らの意図が明らかに排他的思想に基づいているのをみると、共和国原理の大前提「博愛」に反している。わざと豚を使ってるし。
彼らにしてみれば、「豚が嫌なら他の慈善団体の食事をもらいにいけばいいだろう」(「フランスが嫌なら他へ行けばいいだろう」と同じ論理)というところでしょうが、そのような傲慢な態度でひとに無償で何かを与えることが慈善行為といえるのだろうかと疑問です。それに、与える側はその行為によって力関係で上だと思うし、与える側の選択と与えられる側の選択はシンメトリーではないはず。この辺、自分の中でクリアでなく、掘り下げられないのが無念。
贈与論関連の本を読んでみようかという気になりました。
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