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「中東:急進勢力と原理主義の結合を妨げるべき」

 2006-08-14
イスラエル-ヒズボラ抗争について、色々と新聞紙上に専門家や元外交官などの意見が載っていて、いくつか訳したいなと思いつつ時間がなくて、その中からどれか選んで…と思っても選択しがたく、結局何も訳していませんでした。
で、土曜日のル・フィガロに、以前ムハマンドの諷刺画関連で紹介したことのあるオリヴィエ・ロワが寄稿していたので、とりあえずこれだけ訳しました。

原文↓
「Moyen-Orient : empecher la jonction des forces radicales et extremistes」
(ル・フィガロは無料閲覧期間が短いので、リンクが早々に切れるかもしれません。)

20060812.FIG000000439_23361_1.jpgオリヴィエ・ロワはイスラム研究者で中東と中央アジアの専門家。
この記事は、シーア派とスンナ派の関係や、ヒズボラとハマスという二つの潮流が同じものではないことなどを手短に語っており、中東の背景の大筋をつかむためには勉強になります。しかし紙面が限られているせいか、当地の情勢に詳しい筆者であるだけにそれを説明しきれない不満足さと、表明しきれない欧米の外交に対する苛立ちがにじみ出ているような気がしました。
しかし、それだけにまた、「軍事的解決は持続しない」「政治的合意のみが地域圏を安定化しうる」という彼の言葉に説得力を感じました。
※( )は原文通り、〔 〕内は訳注です。
 いくつかの用語はウィキベディアにリンクしてさせてあります。
 多少意訳した部分があります。専門用語や固有名に関して、訳や日本語表記が間違っているかもしれません。お気づきの方はご指摘いただければ幸いです。



中東:急進勢力と原理主義の結合を妨げるべき

レバノンにおける戦争の深刻化とロンドンのテロリズム陰謀の解明によって、最近のニュースはあることを豊かに彩っている。それは、二つの内奥の論理が中東の所産にあるということだ。一方で、反イスラエル的「拒絶の戦線」の再形成がある。といっても、今回はイランの庇護のもとで。他方、シーア派スンナ派の間の亀裂がある。それはイラクにおいて極みに達し、すべての領域に広がる危険がある。

それ自体だけみれば、二つの傾向は新しいものではない。拒絶の戦線は、1970年代の終わり、オスロ合意で頂点に達したイスラエルを認めるプロセスへとエジプトが歩み始めたときに現れた。それから、シーア派とスンナ派の亀裂は、1979年のイラン革命の勝利以来、そして特にイラン・イラク戦争以来、大きくなっている。そのとき、サウジアラビアの、また、忘れてはならないのはパキスタンの指導下で、イランに対抗するアラブ・ナショナリズムとスンナ派保守主義の同盟関係を我々は見た。

スンナ派武装グループのシーア派に対する最初の組織的攻撃は、実際、パキスタンで1985年頃に始まった。以来、スンナ派急進グループ(アル-カイーダはその原型である)とイラン政府間の競争の激化を、我々は目にしている。長らくビン・ラディンを支持してきたサラフィストとワッハーブ派は、異端として非難されているシーア派に対する排斥キャンペーンに身を投じた。それに対してイラン人たちは、イスラムの係争全体のリーダーに立つことをいつも夢見ていた。しかし、1980年から、地域のシーア派コミュニティの政党支持という縮小された立場におさまった。さらに、彼らは、政治的にも宗教的にも、革命の行動方針のもとに全てのシーア派を統合することすらできなかった。

しかし、新しいことは、イラクにおけるアメリカの介入が状況を変えたことである。アメリカ人たちはイランのうちにテロリスト国家を認めるが、彼らは逆説的にイラクにおいて-また、アフガニスタンにおいて、イラン人たちと同じ陣営にいるのだ。イラクでの戦争の結果がどんなものであれ、イラクのシーア派たちはアメリカの介入による一番の勝者だ。湾岸地域、石油ゾーンの重要部を構成する地帯におけるシーア派の支配力の増大は(同じくバーレーン、クウェート、そしてサウジアラビアの北東部においても認められる)、その地域圏のスンナ派アラブ保守主義政権に激しい不安を抱かせている。

幻想か現実か、政治的討論においてシーア派の脅威を基準とすることが中枢となった。ザルカウィのような急進派の推進力のもとで、また湾岸地域及びヨルダンにおけるアラブ保守主義者たちの厚情と共に、アラブ・ナショナリストとスンナ派サラフィストの協調はこうしてイラク北部で再構築された。ザルカウィはイラクにおいてシーア派に対する暴力的ジハードに乗り出した。イランのイスラム革命の拡張を抑えるのに一役かった枢軸同盟は、こうして再構築された。但し、今回は、アメリカ人たちは客観的に見てイラン陣営に身を置いている。

イランの強迫観念は常に、中東でのアラブ-ムスリム的大儀の王者に位置するために、シーア派を支配しつつ道具としながら、アラブ-スンナ派戦線を回避することであった。アフマディネジャド〔イラン現大統領〕のはったりのおかげで、西欧政治による無理解のおかげで、イスラエルの反応の暴力のおかげで、また、スンナ派アラブ政権の麻痺のおかげで、今日、イランはその成功をおさめつつある。アラブ-スンナ派戦線とシーア派急進主義の結合を可能にする唯一の立場はパレスチナである。もっと的確に言えば、ハマスヒズボラがつながれば、イランは二つの戦術を連結させることができる。だからアフマディネジャドは、ヒズボラに武器をもたせ装備させながら、すぐにその地域圏において明らかに影響ある主題、イスラエルの「不当性」についての表明をすることから始めたのである。

先の6月にハマスの武装した分枝団がイスラエル兵士を捕らえるに到った原因について、あれこれ解説することはできる。しかし、イスラエルの反応を鑑みて、ヒズボラが今度は自分達が二人の兵士を捕らえた後にイスラエルの攻撃を受けると予想していなかったとは考えにくい。どちらにせよ、ヒズボラは戦争の準備ができていた。それでもなお、イスラエル-パレスチナ紛争とイスラエル-ヒズボラ紛争の不意の結合は、拒絶の戦線とシーア派を融合させる機会をイランに与えるのである。今のところ、その結合は、テヘランにすべての面における勝利を与えている。

サラフィストとワッハーブ派たちはその点で騙されなかったし、最近の彼らの声明が示しているように、昔からアラブの街がやってきたことであるが、突然、シーア派を悪魔視していた態度を無理に柔らげたり、ナスララ〔ヒスボラの現リーダー〕をアラブ-ムスリム的大儀の英雄と無理に認めたりしなかった。サウジアラビア人たちとヨルダン人たちは、ヒズボラを危機の発端であるとして非難した後、後退せざるを得ず、エジプト政権と同じように見物人の立場をとっている。

ヨーロッパ人たちは、分裂的外交の実践を続けている。核計画のことでイランを安全保障理事会の前に引っ立てつつ、フランスの外務相の意見によって、(中東危機でイランが活躍しようとしている動機のひとつは、まさに核計画の続行可能性なのに)イランを安定化の要因とみなし、レバノンにおける解決の探求に参加させようとしている。

アメリカ人たちについては、彼らは特別に分裂病的な状況にいる。「不良国家」と話し合うことを拒絶しているが、彼らは不安からそれらの国家の民主主義化を諦めたことがある。ムスリム同胞団の勝利によるシリアの場合がそうであるし、湾岸地帯とイラクにおける状況の悪化によるイランの場合がそうである。つまり、戦争をせずに戦争について話し合い、外交を拒絶し、結果としてダマスカスとテヘランに自由な領域を与えているのである。

イスラエルに関しては、レバノン全域への爆撃によって、一時的であっても、シーア派とスンナ派とキリスト教徒を再び団結させた。しかし、レバノンにおいてヒズボラ支持が相変わらず非常に弱いものであっても、中東における急進的勢力の孤立と分裂に関する複雑な戦略を動かす機会は失われた。特に、イスラエルにはもう政治的戦略がない。それ以外には、イスラエルが産み出した、ガザからリタニ川にかけてのいわゆるノー・マンズ・ランドにおいての、軍事要塞構築と全ての脅威力の破壊しかない。ところが、持続的な軍事的解決というものは存在しない。長期の政治的合意のみが地域圏を安定化しうる。

そのためには、地域圏の深刻な二つの傾向を新たに分離させなければならない。だから、ハマス(彼らと密に交渉しなければならないだろう)とヒズボラ(他のレバノン及びアラブ政治的勢力との交渉がなければヒズボラを孤立化させられない)を別々に扱うことから始めなければならない。つまり、「テロリズムとの戦い」とか「イスラムのファシズム」というような無効果で曖昧な用語をよろこんで咆える代わりに、個々の紛争の特殊性を見つけ出さなければならない。
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コメント
結局長い時間をかけてヒズボラとかハマスを欧米に認められる集団に「育てて」いくしかないのかもしれませんね(かつてのPLOのように)。しかしヒズボラとかハマスが欧米に認められるころには新たな急進勢力が現れて……。と、歴史は繰り返すのでしょうか。
【2006/08/15 02:01】 | pianoman in Matsudo #- | [edit]
中東情勢をよく知らないのですが、とりあえずヒズボラはイランの道具にされているという話ですよね。ということは、結局、組織の裏にいる立役者がイスラエル+欧米との関係に納得しないかぎりは急進勢力も現れてくるということでしょうかね。
【2006/08/15 16:49】 | shiba #h/1ZVhMA | [edit]












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