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En avoir marre d'entendre ca

 2006-03-05
イラン・アリミさん殺害事件関連で、彼が監禁されていた建物周辺の住民の声を拾った記事を読みました。


現象の分析とかではなく、ただ数人の住民の声をそのまま書き写しただけの短い記事。
超簡単に要点をまとめると、現在のフランス社会には人種や宗教に対する偏見がはびこっているということ、その偏見を伴なった分類化が行われていることを、住民の声を通してクローズ・アップしようとした記事と言えると思います。

しかし、この中で気になった部分。

アブー・ドゥクール、24歳、ソーシャル・アニメーター〔中略〕は付け加えてこう言った。「ムスリムが爆弾の仕掛け人というとき、大したことない。ユダヤ人が金をもってるというとき、反ユダヤ主義なんだ。それが気に障る。」
「そうさ、だってアマルガムは片方には可能でもう片方にはそうでないんだから」とジャブリ・イサカは更に付け加えた。「臭いと言われるより、金をもってると言われるほうがいい〔※〕。映画の『原色パリ図鑑』とか、ギャド・エルマレーだって、ユダヤ人イコール金っていうアマルガムでひとを笑わせてるんだ。」
この地区の19歳の別の住人が口を開いた。「ユダヤ人たちはいつも犠牲者ぶってる。それが反ユダヤ主義をつくるんじゃないか。もしあれがアラブ人か黒人だったら、誰も動かなかっただろう。」
23歳のドー・ウアタラが言葉を継いだ。「つい最近、イランと同じ理由で、ブザンソンである人が拷問されて殺された。それは反『白人』的犯罪だっていうのか?反キリスト教的?フランスはユダヤ人に対して道徳的な負い目がある、戦争中に彼らを売り渡したから。僕らはね、社会の屑で移民出のフランス人でしかないんだ。何者でもない。」

※記事の冒頭で、黒人のイサカ氏が、黒人に対する偏見、例えば体臭が強いなどのことを話している。


まず、「ムスリムが爆弾の仕掛け人というとき、大したことない」とは思わない。そんなアマルガムを聞いたら、少なくとも私はショックだ。そして、ムスリムでなくてもそれを聞いて憤慨する人は、フランス社会には沢山いるはずなのだ。
「ユダヤ人は犠牲者ぶっていて、彼らの被害者としての権利を主張することができるし、社会はそれにすぐ耳を傾けるけど、他の出自の者はそうはいかない」と記事中の彼らは言っているようだ。たしかにそういう現象があるかもしれない。だけど、だからといって、じゃあ他のカテゴリーに入る者たち、たとえば「ムスリム」とか「アラブ人」とか「黒人」とか「移民」と形容され分類される人たちが、犠牲者であることを同じように主張すればいいのかというとそういうわけではない。もし、社会的な差別や偏見の犠牲になっていると感じるのなら、それを変えるためにはどうしたらいいかを考えるべきだろうと思う。個人的な意見であるが、いじけててネガティブで後ろ向き、恨みつらみのルサンチマン的態度は好きじゃない。(例えば、ジョイ・スターやジャメルやチュラムが、投票することが社会へのひとつの意思表示であるから有権者登録をしよう、と呼びかけたことは、ポジティブな姿勢だと思う。)あるカテゴリーに入れられた者が別のカテゴリーと張り合っても、この場合、無意味だと思う。それぞれの間の軋轢は何も生まない。
フランス社会に差別がないとは言わない。たしかに存在する。でも、それを変えていく可能性を多く許すのがフランスなのではないかと思う。その可能性がなくなったら、多分、私にとってフランスは何の魅力もない国になる。
私はフランス人ではないけれど、好んでフランス社会の中に生活する者として、記事の中の彼らを支持(応援)したい。彼らに頑張れと言いたい。そしてそれは自分自身に頑張れと言うことでもある。

それにしても、彼らの発言それ自体がクリシェに聞こえる。メディアのそこここで見聞きしたものそのものの繰り返しに聞こえる。彼ら自身も偏見にとらわれていないだろうか。そして特にこの記事が「もし僕のために人が動いてくれるなら、僕が黒人だからじゃなくてフランス人だからという理由で動いて欲しい」という主旨の発言で終わる時、すでに何度も聞いたリフレイン、常套句を、記事の締め括りにふさわしいからそこに採用したかのように響く。言ってしまえば、記事そのものが「型通り」に感じられる。

イラン・アリミさん殺害事件にまつわる現象で、またフランス社会が抱えている問題が浮き彫りになったように感じている。フランス社会が今までのモデルの通りの共和国主義的社会を継続していけるかどうかが問われていると言われる一方で、共和国主義的理念が追求され続ける。このひびは、これからまだ長くのびていくような気がする。
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