スポンサーサイト

 --------
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
カテゴリ :スポンサー広告 トラックバック(-) コメント(-)

Qui etes-vous William Klein ? 3eme partie ~ウィリアム・クライン、お前は誰だ?その3~

 2006-01-28
初の短編映画を発表した後は、写真と動画(映画やCM)、両方の映像分野にわたる活動が続く。また、名をもったひとりのアーティストとしての活動とメディアの裏方的な活動の両方をこなした。

写真が映画への道を開いたともいえる。
クラインは、写真を通じて、当時写真界のキー・パーソンであったロベール・デルピールに出会った。デルピールは広告会社も持っており、クラインにシトロエンのCM撮影を撮らないかと持ちかけてきた。クラインは彼にボクシングについて映画を撮りたいと話し、デルピールは資金援助を承諾した。
cassius-le-grand.jpgクラインが撮りたいと願ったのは、当時のヘビー級チャンピオン、カシアス・クレイ(後にモハメッド・アリと改名)である。クラインは兵役の間、ボクシングをやっていたし、多くのアメリカ人と同じく子供の頃からボクシングのファンであった。
1964年、カシアス・クレイの歯に衣着せぬ物言いと大口叩きに人々はうんざりしていて、リストンとの試合は善(リストン)対悪(クレイ)の様相を呈していたという。クレイに興味をもったクラインはマイアミに飛び、カシアス・クレイの試合前の様子などを撮影する。この試合で勝利をおさめたクレイは、黒人たちにとってのスターとなった。
120分のこの映画「Cassius le grand」はトゥールの映画祭でグラン・プリを受賞した。

また、都市の写真も撮りつづけた。
1959年から1964年までの間に、ウィリアム・クラインはモスクワと東京を訪れている。冷戦時代にあり、不安を感じながらモスクワ入りしたクラインだが、幼少時に親しんだロシア文学の雰囲気を思い出し、懐かしい感じがしたという。klein-tokyo-cineposter.jpgまた、東京は、クラインにとって全くの異国であった。ひとつひとつの事象が意味することを理解しようと努める前に、見聞きするものをそのまま写しとった。そしてそれらは詩的で魅力的な写真となった。
モスクワと東京の写真は、1964年に出版された。

溯って1962年、テレビのルポルタージュ番組(Cinq colonnes a la une)でのファッションを題材にした撮影を依頼され、それをきっかけにこの番組の撮影をいくつか担当する。その中で、62年のド・ゴールによる国民投票の際、地方に住むフランス人たちが大統領選に対してどんな意見をもっているかのレポートを任された。そこでクラインはフランス人たちの政治家に対する不信感を垣間見る。これを事前に観覧した内務省と外務省の役人たちは放送することに反対した。番組のチーフであるラザレフ、デグロップ、デュメらは素直に引き下がり、このルポルタージュは放映されなかった。「テレビの牽引者たちのこうした気の移りやすさからポリー・マグーが生まれた」とクラインは説明している。

最初の短編映画について自身が解説しているようなクラインの批判的な視線は、その後の映画すべてを貫いている。
PollyMagoo.jpg1966年に公開された「Qui etes-vous Polly Magoo?(ポリー・マグー、お前は誰だ?)」で、クラインは虚構的メディアと現実の乖離に対する風刺をたっぷりときかせた。
映画冒頭、アルミニウムで作った突飛なファッションのショーが展開されるシーンでは、モードを盲目的に賞賛する人々とそれによって成り立っているモードに対する冷笑が盛り込まれている。
しかし視覚的な完成度が高く、そちらの方が目立つ作品ではある。当時盛んだったヌーヴェル・ヴァーグが非常に文学的であった(「おそらくゴダールとトリュフォーを除いて」とクラインは言っているが)のに対し、その視覚性は革新的であった。ファッション写真を撮影する際にクラインが考え出した照明がここで役に立っている。天井にレフ板を設置し、それに照明を反射させることで、日中の光の中にいるような明るさが保たれ、どの角度からでも撮影することができた。
「ポリー・マグー」におけるファッション界への風刺が影響してか、「Vogue」誌との契約は映画公開後に切れた。また、以前からクラインの挑発的なアイデアで撮影された写真は「Vogue」に掲載拒否されることがよくあり、編集長であったダイアナ・ヴリーランドとうまくいっていなかったようである。

「ポリー・マグー」の後、クラインは「Loin du Vietnam」の撮影に参加し、アメリカのシークエンスを受け持った。この映画はクリス・マーカーの案によるコラボレーションで、その他のシークエンスをアラン・レネ、ジャン=リュック・ゴダール、クロード・ルルーシュ、ヨリス・イヴェンスらが担当した。
クラインは、アメリカのヴェトナム介入に憤慨していた。クリス・マーカーはどのようにして観客を反戦映画へ呼び寄せることができるか考え、友人たちと共に映画を製作することを思いついたのだ。しかし、マーカーの思惑とは裏腹に動員数は減少した。この失敗から、クラインは観客がドキュメンタリー映画にあまり興味がないことを悟り、「アジ的でプロパガンダ的な見世物フィクション映画」を製作することを思いついた。こうして「Mister Freedom」が構想された。

MisterFreedom.jpg「Mister Freedom」は疑いなく政治的な映画である。
ミスター・フリーダムは合衆国の国旗をあしらった、アメリカン・フットボール選手のような出で立ちで、「自由」をまもるために闘うヒーローである。彼の敵はベレー帽を被った赤い軍団。そのカリカチュアは、アメリカン・コミックのようであり、色使いも原色が多くポップである。しかし視覚面だけでなく、日常の言説が問題提起されているところにもポップ性をみるべきであろう。クラインは登場人物たちにケネディやニクソン、ジョンソンらの言葉を言わせた。「観客がそれと認識して、彼らが語っていることがどういった点でグロテスクであるか理解してもらいたかった」そうである。

クラインは「Mister Freedom」の中に群集のデモのシーンが欲しいと思った。それは1968年のことであった。5月、学生運動が起こり、彼の住むカルチェ・ラタンは人々で埋め尽くされた。そこでクラインはデモの様子を撮影した。その後、映画関係者のストが始まり、「Mister Freedom」の編集は中断した。郊外のムードンに映画関係者らが集まり、その後の方針などが話し合われた。2日間ムードンにいて、すべてが起こっているカルチェ・ラタンから離れていることにクラインはふと気付いた。そこへ、ソルボンヌで起こっていることを映像におさめてくれないかと学生達がクラインに依頼しにきた。20060128180642.jpgクラインは5月20日から、彼らの会議、路上での議論、舗石をはがしたりスローガンを叫ぶ学生達、機動隊との衝突などを撮影した。これは後に「Grands soirs et petits matins」と題される。
学生運動の模様は、幾つかの撮影隊(アナーキスト、共産主義者、トロツキー主義者、毛沢東主義者ら)が撮影した映像を総合して映画にする予定であった。しかし5月の集結が終わると、それぞれが自分達の撮影したフィルムを持ってちりぢりに去っていった。彼らがそれを公開しようと決めたのは10年後のことである。

(まだ続く)
スポンサーサイト
コメント
おー、読んだぞ。えー、まだ続くよ!

そういえばゴダールの“勝手にしやがれ”の夜のパリ、ちょっとクラインっぽい。フェリーニのローマは極めて人間くさいんだけど、ゴダールのは無機質。さて、クラインが撮った“人物”が中心ではない街風景ってあったかどうか、、、気になります。(ブロードウェイの写真にあったかもしれない)

そういえばカタログ売り切れだそう。まあ70ユーロ以上するんで買えませんけどもね。
【2006/01/29 00:48】 | 猫屋 #- | [edit]
その3までおつきあいくださってありがとうございます。
こんなに長くするつもりじゃなかったんですけど…まだ続きます。ええ、自分でも終わりがみえてませーん、えーん!どうしよう。尻すぼみになる可能性大。

人が中心じゃないクラインの写真、ニュー・ヨークのやつであったと思います。でもいつも人間くささが漂っていまる気がします。

カタログ、売り切れですかあ~。
あれ、70ユーロのと45.50ユーロの、どう違うんでしょう。
安い方、ポンピドゥーで見本を見ましたが、中身の半分くらい私のもっている「Films」とほぼ一緒なので買う気がしません。ま、どっちにしてもソルド後の身に45.50はキツイです…。
【2006/01/30 17:43】 | shiba #h/1ZVhMA | [edit]
高い方のカタログについて、、
http://www.cnac-gp.fr/Pompidou/Edition.nsf/Docs/IDF8FD78BA9CF172E6C1257096004E7854?OpenDocument&sessionM=6.1.8&L=1
Samedi 4 février à partir de 17h : Signature de William Klein à la Librairie Flammarion Centre
だそうです。当日私はパリにいません。shibaさん、行って見たら?
【2006/01/30 18:02】 | 猫屋 #- | [edit]
ってか、サイン付きカタログ欲しい。うん、スゴーク欲しい。
【2006/01/30 18:05】 | 猫屋 #- | [edit]
うむむむ~~~行きたい~。
でも一人で行くの、緊張しちゃうなー。同居人にはしかめつらしい顔で「行かない」と言われてしまったし。
誰か一緒に行きませんか~~?
【2006/01/31 00:44】 | shiba #h/1ZVhMA | [edit]
わ~ん。カタログ★。お金出すから誰かサインもらって来てくらさい。お金は今週のユーロミリオンlotoで稼ぐのです。
【2006/01/31 00:56】 | 猫屋 #- | [edit]
カタログの値段の違い、なんとなくわかりました。
broche(安い方)かrelie(高い方)か、ということのようです。あとページ数とか大きさとか一緒だし。
でもこの綴じ方の違いがよくわからないんですが…やっぱりbrocheの方が耐久性が弱いのかなあ。
【2006/01/31 23:02】 | shiba #h/1ZVhMA | [edit]












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://hibinoawa.blog10.fc2.com/tb.php/264-1d249fcf
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。