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ウィリアム・クライン展

 2006-01-23
EXP-WILLIAMKLEIN.jpg展覧会の話が続きますが、今日はポンピドゥー・センターでやっているウィリアム・クライン展に行ってきました。

私がウィリアム・クラインを知ったのは、多分15年くらい前。きっかけは忘れてしまったけど、多分「CUT」とかその辺のカルチャー雑誌経由だったと思います。写真も見ていたはずですが、私にとってのウィリアム・クラインは、まず「ルイ・マル監督『地下鉄のザジ』のカメラ・ワークの人」でした。その後、カルト映画的な評判を聞いて「ポリ-・マグ-、お前は誰だ」を見る機会があり、正直、映画を最後まで見通すのは結構辛いものがあったのですが、20060124005508.jpgスチール写真はやっぱりすごくかっこよくて(まあ静止絵の方がいいともいえる…)、それ以来ウィリアム・クラインは私の中で特別なアーティストとして分類されています。

パリに来てから、一度ウィリアム・クラインの映画特集があり、「Mister Freedom」「Le Couple Temoin」「In & out of fashion」を観に行きました。そして、当時よく買っていた「Les Inrockuptibles」という雑誌に彼のインタビューが載っていて、日本でクライン特集をやったら絶対うけるのにーという歯がゆい思いもあり、ちょうど日本の某雑誌社が社員募集していたので、そのインタビューを辞書を引きながら読んで短い原稿を書いて応募したこともありました。(結果はなしのつぶてでしたが。まあ原稿は量的制約もあり、自分自身でもつまらんなあと思ってしまった内容だったので仕方ありません。)
ちなみに、実際、その1年か2年後、東京でクライン映画特集が催されたようです。盛況だったのかどうか知りませんが、カヒミ・カリィ嬢とか川勝氏とかかんでいたようだから、当時の渋谷系の流れの人たちが食いついてくれたことでしょう。


さて、前置きはこれくらいにして。
一番の感想→すっごくよかった!!
ウィリアム・クライン好きですから、まあね。

あと、ウィリアム・クラインというと、やっぱり赤だなあ。赤と黒。という印象。
もうひとりのクライン、イヴ・クラインは青ですが…。
とは、同行某氏もおっしゃっていたが。

展覧会場自体はそれほど大きくなくて、大きく分けて5つのブースから成っていました。
最初は抽象画・抽象写真のコーナー。ウィリアム・クラインはフェルナン・レジェのアトリエで絵を勉強していた時期があり、また、モンドリアンの影響も受けたようです。彼は、1951~1952年、ブリュッセルとミラノで抽象幾何学画の展覧会を開いています。写真の世界に入ったのはその後。

1954年、雑誌「Vogue」のアート担当主任に招かれ、出身地であるニュー・ヨークに戻り、街の様子を撮影。1956年、映画監督であり出版社(Seuil)の編集員だったクリス・マーカーによって、彼の最初の写真集「Life is good and good for you in New York : Trance withness revels」出版。クラインはその後、映画監督フェデリコ・フェリーニに呼ばれてローマへ赴き、アシスタントをするはずだった映画撮影が頓挫している間に写真を撮り、1958年に「Rome」を出版。また、1959~1964年にモスクワと東京を訪れ、二つの都市を撮影、その写真集が1964年に出版されました。
klein-gun.jpgということで、2つ目のブースは街と写真集のコーナー。ニューヨーク、ローマ、モスクワ、東京、そしてパリの街がクラインの視点で捉えられていました。不思議なのは、どの都市の人も風景も同じように見えること。クリス・マーカーは「ヴァン・ゴッホが現実をヴァン・ゴッホ風に切り取ったように、彼はクライン風にそれを切り取る(il deoupe la realite en Klein comme Van Gogh la decoupait en Van Gogh)」と言ったそうですが、クラインの写真にはいつも彼独特の「何か」が反映されているように感じられます。それは、端的に言えば「ユーモア」。やけに人間的な「情」、笑い、暴力、惨めさ、滑稽さなど。そして人間の生活のなかにある「猥雑さ」、「イリュージョン」。
klein-gainsbourg.jpgパリの写真集をスライド方式で紹介しているモニターの前には人だかりができていました。やはりパリでの展覧会だったから…かもしれませんが、私個人の感想としては、5つの都市のなかでパリの写真は映し出される人々の様相のヴァリエーションに富んでおり、一番生き生きとして感じられ、クラインが一番好きなのはパリなのではないかと思ってしまいました。まあ、パリの写真だけカラーだったというのもあるかも…?とはいえ、なぜ他の都市が白黒でパリはカラーで撮ったかというと、やはりそこに撮影者の意図・選択が存在しているわけで。klein-cantona.jpg私が好きなパリはウィリアム・クラインの好きなパリになんとなく近いような気がして、じーんときてしまいました。クラインはパリの写真集「Paris+Klein」(2002年に出版)で次のように言っています。
「パリについての一冊の本、どう作ればいいか?パリについては2000もの本がある。僕は新しく何ができるだろうか?それを考えながら、僕は、写真家たちのパリが一般的に靄のかかったもの、特にモノエスニックなものだということに気付いた。つまり、白人たちのグレーの街。ところが僕にとって、パリは―ニュー・ヨークと同じくらい、もしかしたらそれ以上に―人種の坩堝(melting-pot)だった。コスモポリタンで多文化的、全体的にマルチエスニックな街。この本は、なかなかおもしろいと僕は思う。この本をみながら、ひとは、なぜこんなに多くの集会、デモ、祭り、そして群集の写真があるのか、と疑問に思うかもしれない。何故なら、まず、それらがあるから。そしてたしかに、僕はいつも画面に収める一つの方法、ごっちゃになり、お互いを見つめ、すれ違い、そして最後に秩序立つ、身体の混乱に基づいた一つの方法を自分のものとしている。」
klein-paris.jpgklein-paris-11novembre1968.jpg

3つ目のブースは映画。今までクラインが監督した映画の抜粋を上映。「Loin du Vietnam」「The Little Richard Story」「Muhammad Ali the Greateste」などなど。「Mister Freedom」では若かりしセルジュ・ゲーンズブールが笑わせてくれます。68年学生運動の様子を収めた「Grands soirs et petits matins」は、私はNouvel ObsでDVD通販発見(しかも安いっ!)、注文済み。まだ手元に届いていませんが。
ところで、このコーナーはガラス張りの部屋に位置しており、すぐそこにあるパリの街の風景(石畳、カフェ、並木、行き交う人々…)と、いっぱいに入り込む午後の明るい日差しが、クライン展に妙にマッチ。

4つ目はファッション写真のコーナー。クラインは「Vogue」にファッション写真を掲載していました。klein-fashion.jpgしかしモデルの立つシチュエーションがなかなか独特で、路上で鏡を使ったり、蝋人形館の中だったり。往々にしてファッション写真は幻想的で虚構の世界を作り出すわけですが、クラインのファッション写真は現実世界の虚構性を、モデルを軸にして浮き上がらせているように感じます。
真ん中にクライン自身が手がけたショーケースがあり、そこに今までファッション雑誌に掲載された写真などが並べられていたのですが、「STUIDO VOICE」が!えーーん、知らなかった!99年9月号で特集を組んでいたのですね。さすがにもう在庫ないだろうなあ…。

最後のブースはCONTACTS PEINTS。これ、なんて訳したらいんでしょうか?フィルムのネガを大きくプリントして、そこにペイントしたもの。ああ、クライン。


とても満足した展覧会でした。充実した幸せな気分になりました。
そうそう、ポンピドゥー・センターの美術展は常設展・特別展あわせて共通の一枚の券になったようです。「これは元をとるべし~!」みたいな根性で他の展覧会もまわり、半日ポンピドゥー・センターの中にいたのですが、気持ちの良い時間を過ごしました。そこにいる人たち(観覧者・入り口のチケット切りの人など。写真撮影頼まれた日本人の男性には最新デジカメの扱い方がわからず笑われたり…)は概して感じがよく、アートに触れ、幸せになれる場所であることを有難く感じました。
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コメント
ありゃ、先を越されてしまった;ちっ。ネブロでも同タイトルで書くつもりです、よろしく。
【2006/01/24 02:14】 | 猫屋 #- | [edit]
いいな~。ご近所さんだから行ってこようかな。精神的な余裕を取り戻さねば。「フランス好き」だった時代に知った芸術家のものを、無意識的に敬遠していたことを若干反省。
【2006/01/24 07:29】 | 骰子一擲 #- | [edit]
二つ目の写真でジャケ買いしたCDがあります。なるほろそういう方だったんね。
【2006/01/24 16:40】 | kazz. #ODhh62Kk | [edit]
>猫屋さん
お誘い、ありがとうございました。本当に行ってよかった!と思いました。
しかし一緒に行ったと公表していいのかわからなかったので(公表しちゃマズイという理由もないですが)、記事中ではふせておきました。はは。

>骰子一擲さん
いやあ、私も展覧会などここ何年も行ってなかったです。
でもやっぱり、アートに触れてなんらかの刺激を受けるのっていいですね。
クライン展、日本人らしき若者もいっぱい見かけました。

>kazz.さん
二つ目、というと「ポリー・マグー…」のですね。あれは、あの映画のスチールとしてすごい有名ですが、CDジャケットに使われているとは知りませんでしたー。ちなみに、あの映画の音楽はミッシェル・ルグランらしいです。2回も見たはずなのに覚えていませんが…。
セルジュ・ゲーンズブールのあの有名ジャケ写真もクラインだとは、昨日まで気付かなかったボケな私です…。
【2006/01/24 23:50】 | shiba #h/1ZVhMA | [edit]
shibaさん、クライン大ファンだったんだ。そう言ってくれればそれなりにもっと時間かけて見ればよかったな、と後悔したり。時既に遅し、、だが。猫屋はあんまり集中力続かないんで軽くこなす癖がついちゃったんっすよ。老体かあ。ま、そうだと自家突っ込み(笑
【2006/01/25 02:11】 | 猫屋 #- | [edit]
いえ、大ファンというのはEXPOみてからスイッチ入った感じです。結構時間かけましたよね、展示会場の大きさのわりに。私のほうこそかなり時間くってしまってすみませんでした。
なんとなくその後、スイッチ入りっぱなしでマニアのような次エントリになってしまいました。しかし、やりだすとほんと止まらなくて…。えらく長くなってきてしまい、こんなの誰が読むんだ~と思いつつ自己満足でやっております。
ウィリアム・クライン・マニアではなく、知ったかぶりのお披露目マニアなんですけどね。
【2006/01/25 23:30】 | shiba #h/1ZVhMA | [edit]












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【2006/01/24 12:30】
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