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Le Nouvel Obsevateurの「新反動派」特集

 2005-12-05
(3日間インターネット接続不通だったため滞っていた更新をまとめてやってます。)

Le Nouvel Observateur12月1日号は「Les Neoreacs(新反動派)」特集です。その中で取り上げられている知識人の中に、アラン・フィンケルクロート、アンドレ・グリュックスマンも入っていました。本文中では他にエレーヌ・カレール・ダンコス、表紙で紹介されているのはミッシェル・ウエルベック、ニコラ・サルコジなど。
これを読んで、よく知らなかった今までの流れ、フィンケルクロートやグリュックスマンの発言に到る流れが多少わかってきました。

特に明確な枠組みを与えてくれたのは、新反動派の考えの特徴として挙げられている4つの点。以下、要約。
?9.11テロ以来、世界は「欧米対反欧米」の戦争の真っ只中にある。
?この戦争には、ジョゼ・ボヴェに代表されるような「極左」という諜報員がいて、イスラム主義につながっている。そして反ユダヤ主義を再興させている。また、移民による反共和国主義・反ユダヤ主義的暴力が郊外の暴動やテロリスト養成に役立っている。
?「お役立ちお馬鹿さん」たち、つまり左派は、現実にある憎悪や危機を認めようとしないで、アメリカの管理努力をないがしろにしている。彼らは、罪の意識によってすべての歴史的要請や他の文化を尊重するあまり、西洋を弱体化させていることがわからない。移民の同化はありえないし、彼らの「許しの文化」が郊外の少年犯罪を増加させている。
?この「お馬鹿さん」たちは、進歩主義の終わりと、共和国的・ユダヤ-キリスト教的価値の解体を示しているに過ぎない。消費とメディアによる無秩序状態が広がり、西洋の社会と道徳を崩壊させている。民主主義は信頼も規則もない、ただの空虚である。我々は頽廃の中にいる。

私はこれで少しグリュックスマンの論説が解読できた気がしました。
ところで、先に別の感想を言っておくと、グリュックスマンは「フランスの農民が暴力に訴えることが伝統的・文化的『フランス人気質』だとしたら、意思表示が暴力的であるという点で暴徒達はフランスに同化しているのだ」と指摘していますが、この論理の進め方・文章の書き方の中に皮肉的・冷笑的なものを私は感じました。
さて、グリュックスマンは外交の例も挙げ、フランスにニヒリスト的状態が広がってきていると強い調子で非難しています。が、私がいまいちわからなかったのは、グリュックスマンが言わんとする「ニヒリスト的状態」そのものです。
Le Nouvel Obsの記事を読んでわかったのは、ニヒリスト的状態とは、フィンケルクロートが意味するところの「反共和国主義」が興隆してきた状態と同じらしいこと。つまり、「頽廃」。グリュックスマンの記事中の農民描写はジョゼ・ボヴェを連想させられましたが、ジョゼ・ボヴェと郊外の「暴徒」の同一視がグリュックスマンにとっては自然なことであったようです。共和国を頽廃させている「敵」。ただし、フィンケルクロートと異なる点は、彼がイスラムに焦点をあてているのに対し、グリュックスマンは内部の崩壊を指摘しています。しかしまさにこの点で、当のグリュックスマンの方がニヒリスト的であり、現在のフランスに対する嫌悪・憎悪が強くあるように感じました。
ちなみに、Le Nouvel Observateurの中で、フィンケルクロートは懐古趣味という意味で新反動派であると言われています。彼は「昔のフランスは良かった」というノスタルジーに浸っている、と。

ところで、フィンケルクロートのインタビューとグリュックスマンの論説を翻訳して紹介したのは、それらに賛同してのことではありません、ということをコメント欄では書きましたが本文中で説明していませんでした。コメント欄に目を通さない方も多数いらっしゃると思うので、もう一度明言しておきたいと思います。旧ヌーヴォー・フィロゾフたちの意見は私の考えとほとんど正反対です。
では反対位置からの意見が私たちの読めるところに出てきていないのか、というと、どうもこれといって見当たらない(っていうか血眼になって探しているわけでもないけど…)のですが、Le Nouvel Obsの中でジャック・ランシェールの最新刊「La haine de la democratie(民主主義の憎悪)」が引用されているのをみると、こたえが先にその本の中に書かれてしまっているのかも…という予感。

そういえば、このランシエールの本、買ったんだった……(汗)。
まだ読んでません。
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コメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
【2005/12/06 00:08】 | # | [edit]
わたしは先日の日曜日にたまたまかわぐちかいじのマンガをDVD化した「ジパング」という作品をみたのですが、ものすごく驚かされました。というのもこの作品には、いまの日本の若者に蔓延する「保守反動」的雰囲気がみごとに表現されていたからです。
アンダーソンが『想像の共同体』で、小説がアジアのナショリズムを準備したと喝破したように、ひょっとすると百年後の歴史家はかわぐちかいじのマンガが21世紀の日本のナショナリズムを準備した、と断定するかもしれません。そしてわたしは今までかわぐちかいじのマンガを読まなかったことを後悔しました。ここにこそいまわたしが批判すべきものが集約されているような気がします。
そう考えると小泉純一郎という人がなぜあれだけ支持されたのかがなんとなくわかるような気がします。つまり小泉純一郎という人はあらゆる点でかわぐちかいじのマンガに登場してもおかしくないキャラクターだからです。
ひょっとするとフランスでもこのマンガに相当するようなメディアが案外保守主義の地盤になっているのかもしれません。
【2005/12/06 03:14】 | pianoman in Matsudo #- | [edit]
>一番上のコメントをくださった方
非公開でコメントをいただきましたが、この場でしかお返事できないようなので、公開にて失礼致します。
ご丁寧なご挨拶、ありがとうございました。よろしければブログのアドレスをお教えください。
リンクはご自由にどうぞ。TBでお知らせしていただければ尚嬉しいです。
これからもよろしくお願い致します。
【2005/12/06 15:41】 | shiba #h/1ZVhMA | [edit]
>pianomanさん
かわぐちかいじって「沈黙の艦隊」の人ですね。この人の漫画は読んだことないです。
Wikipediaの「沈黙の艦隊」の項を読んでみましたが、最初は右寄り、次第に左寄りと思われてきたと書いてありました。どういう人なのでしょう…。「ジパング」も面白そうですが、長そうですね。
あ、そういえば、あまり関係ないけど、太平洋戦争についてちょっと調べなければならなくなりそう…。ご助力を乞うかもしれません。

フランスでマンガに替わるようなインフラストラクチャーのメディアってあるかなあ~。ギニョール・アンフォとか?…って保守派が好きなものじゃないなあ。
今だとやっぱりインターネットでしょうか。
【2005/12/06 16:00】 | shiba #h/1ZVhMA | [edit]
「ジパング」(まだ三回目までしかみてませんが)最初の方をみただけですぐに感じたのは、いま日本で争われているのは保守対革新のヘゲモニーをめぐるものではなく、死者と生者の争いであるということです。つまり戦争で死んだものが生者に復讐しようとしているということです。
かわぐちかいじは太平洋戦争の死者を甦らせて現在の日本が直面する問題と並行するかたちでストーリーを展開させようとしています。
そこに現れる戦死者は、たとえば「私は貝になりたい」のフランキー堺よりも魅力的なわけです(ここが問題なのですが)。
そこでわたしが考えたのは、戦死者は徹底的に弾劾されるべきなのではないか、ということです。かわぐちかいじのマンガにでてくる海軍中尉も「私は貝になりたい」の床屋の主人も等しく弾劾されなければならない。彼らは二重の意味で負けた人達なのだ、と。
つまり一つには戦争を防ぐことができなかった、という意味で負けたのであり、いざ戦争が起きるとその戦争にも負けてしまった、という意味で。
戦後60年目にして、われわれは死にきれない「戦死者」と戦い、彼らをきちんと死なせてやるべきなのかもしれません。
【2005/12/07 02:51】 | pianoman in Matsudo #- | [edit]
フランキー堺…「貝になりたい」…そういうレフェランスってすぐに出てくるかなあ、私らの世代で?(笑)すごいなあ。pianomanさん、本当は年をごまかしているんじゃないの?得意な物真似は昭和天皇の玉音放送だし…。

そうですね、私たち自身の中に死にきれない戦死者がいるような気がします。

そろそろアメリカも少しずつ軍備撤退すると言っているし、アジアで孤立する状態を作ることで憲法改正、自国軍備増強をはかる目論見があるのでは、というようなことが田中宇氏が言っていました。(これもまた読み間違いかもしれないが…。日本語なのに…。)
【2005/12/08 22:58】 | shiba #h/1ZVhMA | [edit]
冷戦終結後十数年が経過してなお死に切れない死者たち。
いや極東においてはまだ戦いが続いているのでしたね。
【2005/12/08 23:18】 | foo #aIcUnOeo | [edit]
>フランキー堺…「貝になりたい」…
実はこの番組、猫屋はリアルタイムで見てるんだよね。ああ。ところで今、村上春樹の「半島を出でよ」を借りてきて読んでます。面白いけど、日本ってなんか本当に戦争したがってる部分があって怖い。

イギリスは撤退決めたみたいで、日本政府は豪英の様子を見てから、、などと言ってましたが。

完璧な横レス、土瓶の口。失礼しました。
【2005/12/09 02:27】 | 猫屋 #- | [edit]
オーストラリア軍、5月以降もイラクに駐留する見通し=ハワード首相
2005年 12月 9日 金曜日 18:58 JST

http://today.reuters.co.jp/news/newsArticle.aspx?type=worldNews&storyID=2005-12-09T183912Z_01_NOOTR_RTRJONC_0_JAPAN-196579-1.xml
【2005/12/10 10:28】 | Aron #l0yaxqJ6 | [edit]
はあ、日本はどうなるんでしょうかね。
わからないだけにそれを思うと気分が暗くなります。
【2005/12/11 02:04】 | shiba #h/1ZVhMA | [edit]
フィンケルクロートの複数エントリーにリンク貼らせて頂きました。よほどの暴言ない限り、以後黙殺しときます。
【2006/01/08 03:34】 | chaosmos #- | [edit]
訳出、お疲れ様でした。
フィンケル…なんだか尾を引いてますねえ。
またもやル・モンドに取り沙汰されていますし。
黙殺したいけれども、フィンケルの名が出ているとつい目がとまって記事を読んでしまいます。
それにしてもフランス・キュルチュールを聞いてるインテリ左派フランス一般人がフィンケルクロートを喝采するってどういうことなんでしょう。これって結構恐ろしい現象に思うのですが。
【2006/01/09 00:43】 | shiba #h/1ZVhMA | [edit]












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