ド・ヴィルパンの反撃
大統領に選ばれたことで、左派だけでなく古参シラク派にも勝ったサルコジ。UMP内のシラク派対サルコジ派の構図は、「普通の人」となったジャック・シラクとドミニク・ド・ヴィルパンへの厳しい追及ぶりにもやはり現れているのだろうか…と思ってしまう今日この頃。

前首相、ドミニク・ド・ヴィルパンは、外相時内相時にクリアストリーム事件に関わったとされ、何度も尋問を受けています。このクリアストリーム事件で、現在注目されているのは、シラク派がサルコジをスキャンダルで追い落とそうと画策したのではないかということ。相手が大統領になってしまっただけに、追及も厳しくなっているのかなーと思ったり。
まあそういうわけで、首相辞任後のド・ヴィルパンは、疑いの対象という不名誉なイメージでマスコミに取り上げられていることが多い。

ところが、最近、ド・ヴィルパンが熱い。(っていうか、ド・ヴィルパンの記事を読んで私が熱くなっただけかもしれないが。)

サルコジに対する批判に積極的に乗り出した様子。クリアストリーム事件でやられてばかりではない。

3961659848-dominique-de-villepin-recommande-a-nicolas-sarkozy-plus-de-serenite.jpg先週の日曜(23日)付けのWEB版ル・モンドで伝えられた記事によると、ド・ヴィルパンはラジオ局ラジオJにて、ニコラ・サルコジ批判を展開したらしい。

まず、外交について。「今日、フランス政治において、ブッシュの政治のやり方のいくつかの点に対し、接近または時に同調とも思えるような方向への路線変更がある」と述べています。これは、イランに対し、クシュネール外相が「最悪の事態に対し心構えをしなければならない。最悪の事態とは戦争だ」と発言したことなどを踏まえています。イラク介入を想起しつつ、「私は心配しています(…)何故なら、それは滅びつつある政治のやり方だし、外交の面で多く間違ったものだからです」と警告。イランについては、「二元論的選択に閉じこもらず」に、国連によって「制裁を厳しくする」べきだとの意見です。
また、経済については、ヨーロッパ中央銀行と折り合いが悪くなりつつあるサルコジを「よく理解できる」としつつ、「それが物事を進展させるだろうか?」と懐疑的。「相手を間違ってはいけない。相手にするべきなのは各国家です。各国家が経済的戦略の明確化について理解しあわなければいけない。(…)非常にしばしば、ヨーロッパは私たちの批判や不満のスケープゴートになってきたのです」と述べています。
更に、家族呼び寄せビザ発給に際してDNA検査を導入する案については、「傷ついた」とのこと。「それは合憲的でないと思いますし、何より、我々の国の歴史と精神に合致しないと思います。(DNA検査をしている)他の国のことを考えてみましょう。英国は、我々と同じ歴史を歩んでいませんし、検挙〔ナチスによる学校内でのユダヤ人検挙〕を経験していません」と強調。「割り当て制にしろ、DNA検査にしろ、その分野での基準を満たすための警視庁の会合にしろ、それらは有益でない、必要ないと思います。私は、何より、そうしたことがフランス国民を分裂させるかもしれないと考えています」とのこと。
そして、「現在の熱狂から少し脱却するべきでしょう。(…)フランス国民は常に目まぐるしく変化する中で暮らすことはできません」「ニコラ・サルコジは野心をもっているが、彼はその野心をちょっと手なずけなければいけないし、平穏さに達するために自分自身を手なずけるべきだ」と厳しい進言。

いやあ、まさに正論(と私には聞こえる)。外相としてイラク介入に断固とした態度で反対して人気をあげた時のことが脳裏によみがえりました。あのときと同じくらい好感を持ってしまった。

ちなみに、家族呼び寄せビザ発給のDNA検査導入については、これから元老院で採決される予定ですが、UMP所属議員の中でも反対派がおり、削除される可能性が出てきています。ラファラン元首相も反対派の一人。家族の絆とは、遺伝子ではなく、親の子に対する愛と責任だと語っておりました。

そして一週間後の今日、テレビ局カナル・プリュスに出演したド・ヴィルパンは、またしてもサルコジ的方針に苦言を呈したとのこと。批判した点は、「オープン」を売りにした内閣構成、UMP議員の任務かけもち、UMPを率いるトップ不在と党の影が薄くなっていることなど。

任務かけもちは、私には本当によくわからない。今回、内閣に抜擢されたけれど選挙に出馬したことがない人たちの何人か(スポークスマンのローラン・ワォキエや移民相のブリス・オットフーなど)は、来年の市長選に立候補するるとかしないとか…。もともと市長をやっていて、その傍ら内閣に任命されるのならまだしも、その逆ってよくわからない。そんなにかけもちする必要があんのか?それとも、左派の地域を取り戻したいらしいので、知名度を武器に勝負に挑もうということなのか…。しかし、いくら知名度があるといっても、市民が、自分の市に住んでもいない候補者を市長に選ぶのかなあ…と疑問。
「私は、政治において、フル・タイムで打ち込むことしか申し分なくこなすことはできないと考える人間の一人」と、ド・ヴィルパン氏はかけもち反対派。同感。

なんだかクリアストリーム事件の追及が続いて、とうとうサルコジへの反撃も遠慮がなくなってきた感じ。
頑張れド・ヴィルパン!

参考:
Le Mondeより

Nouvel Obsより
「Dominique de Villepin fait feu de tout bois contre la majorite」
【2007/09/30】 | actu de la societe francaise 〜フランス社会事情〜 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
サルコジに贈る教科書
歴史家でマリ元大統領の妻、アダム・バ・コナレが、サルコジに「充分な知識を与えるため」に贈る教科書を作ろうとアフリカの歴史家たちに呼びかけたそうです。

3790688955-l-homme-africain-de-nicolas-sarkozy-fait-encore-des-vagues.jpgサルコジは7月、アフリカ諸国を訪れ、26日に開かれたダカールの大学での講演会で「アフリカの悲劇は、アフリカ人が歴史の舞台にちゃんと登場しなかったことだ(…)。アフリカ人は未来に向かって飛び出すことがなかった(…)。自然がすべてを決定する世界観の中で(…)、人間的冒険の場も進歩的観念の場もない」と述べたそうです。
(ファイルしておいたル・モンドの記事からの抜粋ですが、残念ながらこのWEB記事の本元はリンク切れ。読みたい方は、タイトル「Le faux pas africain de Sarkozy, par Philippe Bernard」で検索してみてください。全文コピペしたサイトがいくつか見つかると思います。)

無知もいいところだ。

サルコジだけでなく、このテキストを書いたアンリ・ギアノはどうにも許せない。大統領選の間も文筆担当していた。彼の書く演説のファッショ傾向には頭を抱えたくなる。

といって、自分もアフリカの歴史や文化は知らないのですが。このアフリカの教科書ができたら、私も欲しい。

参考:
Yahoo Franceより

「L'epouse de l'ex-president malien met Nicolas Sarkozy au defi」
【2007/09/24】 | actu de la societe francaise 〜フランス社会事情〜 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
DNA鑑定、共和国の価値とフランス語テスト、そして人種・民族割り当て制
先日、家族呼び寄せビザ発給に関し、DNA鑑定が取り入れられるかもしれないと書きましたが、この修正案が国民議会を通りました。しかし、原案には修正が加えられました。

このDNA鑑定は、すべてのビザ志願者に義務付けられるものではなく、戸籍の真贋が問われるなどして、ビザ発給に時間がかかったり拒否される可能性がある場合に、志願者の方が希望すれば行われるというもの。血縁関係が証明されてビザが発給されれば、DNA鑑定にかかった費用は国から返済されます。
「志願者の希望による」という点と、「ビザ発給の際には費用が国から返済される」という点が、原案に加えられた修正ポイント。

実際に、出生届や死亡届をいちいち出さずとも暮らしていける状況にあるところからやってきた家族の場合、呼び寄せビザがおりなくて困ることがあるらしい。また、戸籍証明がいい加減だと見なされたりすることもあるようです。多くはアフリカの国の出身者に、こうした問題がふりかかっているそう。まさしくこの問題で、夫と子供のうち一人を呼び寄せることができたものの、二人の子供のビザが拒否されて、離れ離れになっている家族のことが、ル・モンドも紹介されていました(しかしリンクが見つかりません)。たしかに、こうした家族にとっては、DNA鑑定ですんなり事が進むなら、早く受けたいところでしょう。

それでもやっぱり、DNA鑑定を簡単に認めてよいものかどうか、問題があるようです。「Immigration et ethique(移住と倫理)」と題されたル・モンドの社説では、「民法16条により、司法の監視のもとに行われる重要な事例を除き、研究または医療目的以外の遺伝子テストは禁止されている」のであり、移民の不正な流入を防ぐためにDNA検査が用いられるのはこれに反する、と指摘されています。更にこの社説は「行政が例外と認定したがっていた手続きを、外国人には一般化し、フランス人にとってはそのまま例外のものとなっている」と述べ、「要するに、この修正案は単に差別的なだけではない。国の違いという名のもとに、衝撃的なやり方で共和国法の精神と手を切るものだ」と締めくくっています。

DNA鑑定ばかりが注目を浴びてしまいまった印象ですが、それ以外にも、サルコジ元内相が進めた修正案が強化されています。その一つが、家族呼び寄せビザによってフランスに移住しようという外国人に課せられる「共和国の価値と言語の認識」のテスト。社会問題が頻発→その発生元は社会に同化できなかった移民→同化できない移民がこれからもフランス社会をおびやかす→「共和国の価値と言語」を最初から認識していなければ受け入れない…ということなのでしょう。

ル・モンドで見つけたのですが、外国人と移民受け入れ局で、フランスに移住しようという外国人に見せる16分の映画、「Vivre ensemble en France(フランスで共に生活しましょう)」がデイリーモーションにアップされています。
「自由」「平等」「博愛」「非宗教性」について説明されています。が…「自由に移動できる」「女性は社会的行動について、いちいち父親や夫、兄弟の了解を得なくてもよい」「夫婦間は平等」といった内容は、反対に何を想定してわざわざ説明しているのか…と考えてしまいます。

ところで、あまり報道されていないようなのですが、私はDNA鑑定よりも「もっとやばい」と思った修正案があります。それは、人種や民族的出自の調査が許可されるというもの。フランス社会の中に偏りがでないよう、出身国や人種・民族別に割り当て制をとる方針のため。こうした人種・民族調査は、フランス的社会モデルにとって、かなり大きな方向転換の要素となります。こういうのはどちらかというと英米系モデルですね。これもまた、「他の国がやってるから」とか言うんだよ、賛成派は。

その他、政治難民や亡命者が申請する期間や滞在できる期間が短縮される案が出ています。

でも、この数年で何度も移民法を改定して、移民締め付け強化しているけど、本当にそれが社会問題解決に寄与する本質的なことなの?優先事項なの?と疑問。

っていうか、「共和国の価値の認識」のテスト、内閣の人にも受けてもらいたい。

国民議会を通過した修正案は、これから元老院で討議される予定です。

参照:
Le Mondeより

Immigration et éthique
LE MONDE | 20.09.07

© Le Monde.fr

【2007/09/21】 | actu de la societe francaise 〜フランス社会事情〜 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
移民入国にDNA鑑定?
次の火曜から移民法修正案が討議される予定。その中に、家族呼び寄せビザ(regroupement familial)発給に関し、子供のDNA鑑定を盛り込む案が出ており、野党及び人権保護団体などから批判が上がっています。

DNA鑑定が提案されたのは、特にアフリカ大陸の国において戸籍が曖昧なケースが多いことから、呼び寄せようという子供が家族であることを証明する必要性が問われたため、と説明されています。

しかし、家族って遺伝子なわけ??とものすごく疑問。
養子縁組はどうなの?

で、この週末、これについてWEB版ル・モンドで読者アンケート実施中。「家族呼び寄せのためにDNA鑑定を許可する移民法修正案について、どう思うか」という質問に、答えとして「同意できる。偽造証明防止のため、他の国でも採用されている手段だから」「同意できない。差別的な措置だから」「無関心」という選択肢があり、現在のところ「同意できる」が54%を超えてダントツ。「同意できない」が42%、「無関心」は4%弱。ル・モンドでこの回答…結構ショックです。

っていうか、答えの理由として「他の国でも…」っていうのがひっかかる。そのうち「『他の国でも採用されているから』死刑制度復活に同意」とか言うんじゃないだろうか。

この「他の国では○○なのに、何故フランスだけが××なのか(だからフランスも○○を採用してもいいではないか)」というのは、サルコジの口からよく聞く言葉。前回、内相のときに選抜的移民法に修正したときも、「他の国がやっているから…」と言って、そういう方針を正当化しようとしていたし。実際、サルコジはこの件について、ヨーロッパではこうしたDNA鑑定を行う国が11カ国あることを挙げ、「何が問題なのか」と言ったらしい。

とにかく、サルコジの移民についての政策方針は問題アリアリだと思ってます。

brice-hortefeux-veut-etre-pleinement-le-ministre-de-l-asile.jpg先日、移民・国民アイデンティティー・統合相のブリス・オットフーは、不法移民の検挙数が目標に達していない県の警察署長を呼び出して注意勧告したとのこと。検挙目標数ねぇ…。
しかしそうは言っても、警察にとっては、不法移民の取り締まりよりも、市民に直接的危害が及ぶ危険性のある犯罪の取り締まりの方が優先課題のはず。
大体、移民管理を内務省から独立させて移民・国民アイデンティティー・統合省をつくったはいいが、現実に動いているのは相変わらず警察なわけで、つまり警察には内務省と移民省という二つの頭があるわけで、それもどんなもんかと思う。しかし、サルコジは移民管理局を別に設けるつもりはないそうです。

ところで、外国人学生の労働許可証に関する法律も変更され、それまでは学生自身が申請していましたが、7月から雇用者が警察に届けることになりました。届け先の警察というのは、学生が滞在許可証を取得している管轄地区の警察。これで、滞在許可証と労働許可証の一括管理になったということです。滞在許可証と労働許可証のダブル申請の手間が省けて、学生にとっては楽になったといえるかもしれませんが、雇用側が管理することになった面と、警察による管理が強化された面に、サルコジ的「監視・管理」路線を感じます。

それにしても、2003年、2006年に続き、2007年にも移民法を修正するとは…サルコジ元内相の政策がうまくいかなかった証拠なんじゃないのかなあー。

参照:
Yahoo Franceより

「Immigration: Brice Hortefeux attendu de pied ferme a l'Assemblee」(AP)
【2007/09/16】 | actu de la societe francaise 〜フランス社会事情〜 | トラックバック(0) | コメント(6) | page top↑
ただいま
9月2日から8日の1週間、大学の夏合宿で、パリを離れてオーベルニュ地方シラーク(chilhac)という村に行ってきました。人口約190人という山間の小さな村に、総勢100人ほどが到着。台湾、日本、ポルトガル、ドイツ、ハイチ、フランスのそれぞれの大学から学生や教授が集まりました。各国の参加人数には偏りがあり、実は台湾からの参加者が多数。よく考えると、フランスからの参加者は、私も含め、外国人学生(メキシコ人、トルコ人、アルバニア人など)がいるので、フランス人はマイノリティだったんだよなあ。一応地元なのに。
半分英語、半分フランス語という環境の中、中高大で培ったはずの英語力がちょっとだけよみがえったような…。台湾人とのコミュニケーションには、筆談というテも使いました。
朝から晩まで一日中セミナーや発表を聞いたり(聞かなかったり)、映画をみたり、眠気覚ましにコーヒーを飲んだり、こっそり昼寝したり…。夜は、バーに集まってみんなで飲んで、歌う者あり踊る者あり、寝に帰るのが3時とか4時とか。みんな若いなあ。そんで、ちゃんと朝9時半のセミナーに出てきているんだからびっくり。と思ったら、やっぱり日に日に出席者が減っていったけど。

せっかくなかなか来ないような田舎に来たんだからと思い、セミナーの合間をぬって(つか、さぼって)、村を散策。
高台にある村からの眺めは、オーベルニュのなだらかな山並みに囲まれて、自然がいっぱい。

landscape.jpg



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9月早々
とうとう9月になっちまいました。

って、8月があんまりに天気悪くて、夏という感じがせず、下旬の晴天も秋のような爽やかさだったし、カレンダー上、しっかり5週間あった今年の8月は、最終週にそろそろヴァカンスも終わりってムードだったので、9月との境目をあんまり感じません。

内閣も20日(だったっけ)には夏休みを終え、新年度に着手しようという改革に向けた準備がすすめられていたり、各政党の総集会(universite d'ete)が開かれていたりして、色々と動きはあり、気になるニュースもぽつぽつ出てきているのですが、それについて何か言いたい!ってほどまでには気持ちの盛り上がりが欠けていたりして、なかなかこのブログの更新につながらない今日この頃です。気分次第のちらしの裏的雑感独り言メモブログなので。

個人的には、そろそろワイン・フェア(foire aux vins)の季節なのが気になっていますが、予算に大幅ワイン枠を入れる余裕がないのが悲しい。デイリー用ワインがすっかり底をついてしまい、「とっておき」と思っていたワインがデイリー用化している。そりゃ予算が足りなくなりますわ。

と、そんなこんなの9月に突入して早々ですが、明日から1週間、合宿(?)に行ってきます。お勉強会です。これって「新学期の始まり」というべきか、「夏休みの最後」というべきか?なんかどこらへんかよく知らないんですけど、田舎に行ってきます。フランスの真ん中よりちょっと南くらいかな?パリから6時間ほどかかるらしいです(TGVではない)。そのうえ、最寄駅からは車でないと辿り着けないらしい。村にカンヅメ状態ですな。お勉強は適度にさぼっておいしい空気を吸ってくるつもりです(甘いか?)。

そういうわけで、しばらく更新はありませんので、どうぞよろしく。
【2007/09/02】 | journal perso 〜個人的日記〜 | トラックバック(0) | コメント(4) | page top↑
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