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Manifestation pour l'hommage d'Ilan Halimi ~イラン・アリミ追悼デモ~

 2006-02-26
今日、パリをはじめ、各地でイラン・アリミさんの死を悼み、反ユダヤ主義と人種差別に対する抗議のためのデモが行われました。

060225200329.gjk2g1121_portrait-d-ilan-halimi--enleve-le-21-janvier-2006-b.jpgイラン・アリミさんはパリ12区在住、携帯電話販売店勤務の23歳。1月下旬に電話番号を交換した女性客と待ち合わせをし、その後消息不明になりました。アリミさんの家族は、身代金を要求する脅迫電話を幾度となく受けたとのこと。2月13日、サント・ジュヌヴィエーブ・デ・ボワ(Sainte-Genevieve-des-Bois)駅付近で瀕死の状態の彼が発見されました。裸で手錠をかけられており、さるぐつわをはめられ、体には無数の傷、火傷のあとなどがあり、病院へ搬送途中に死亡。翌14日には警察がイラン・ハリミさんを誘拐した女性のモンタージュ写真を公開。これを見た本人が2日後に出頭。彼女の証言により、犯罪に関係したと思われるグループが尋問を受け、リーダーであるユッスフ・フォファナ容疑者を逃走先のコート・ジボワールで逮捕。現在、フォファナ容疑者のフランスへの送還が待たれています。

この事件で、被害者の母親が「息子はユダヤ人でなければ被害にあわなかった。この犯罪に反ユダヤ主義を認めるべきだ」と訴え、法務相のパスカル・クレマン氏は「ユダヤ人は金持ちだという偏見から彼が被害者となった」という点を認める発言をしました。サルコジ内相も、この事件の調査の早い段階で反ユダヤ主義的動機を強調して糾弾する方向で発言しています(その後、多少の修正をしつつも方向性は変えていません。これについては後述。)
23日、パリのシナゴーグで行われたイラン・ハリミさん追悼集会には、ユダヤ人協会関係者は勿論のこと、シラク大統領やド・ヴィルパン首相をはじめ左右の政治家たちが集まり、フランス・イスラム評議会のブバクール議長も出席。一般人も詰め掛け、周辺は多少混乱した様子。

今日のデモの先頭にも、元首相ジョスパン氏や社会党書記長オランド氏、パリ市長ドラノエ氏、内相サルコジ氏、国民議会議長ドゥブレ氏などが参加。060226181721.755y0cf50_philippe-de-villiers-est-force-de-quitter-la-t-te-b.jpgデモ開始直前、先頭に極右政党MPF(Mouvement pour la France:フランスのための運動党)の党首フィリップ・ド・ヴィリエ氏が現れ、周囲から怒声や野次が飛び、治安部隊に保護されて脱出。結局、ド・ヴィリエ氏は列の中にまぎれて参加したそうです。(しかし、本人は「列の中、フランス国民の間でデモに参加(manifester au milieu du cortege, au milieu du peuple de France)することにした」と言っていたそうですが…強がり?)ド・ヴィリエ氏は「極左がこのような反ユダヤ主義、反フランス主義の傾向を促した」と発言。他方、昨年、大統領選立候補を表明した際、「フランス社会のイスラム化を止める」意向を示しており、人種差別につながるような移民排斥的な極右たる骨格は失われていないと思われます。
最極右のFNのイル・ド・フランス地方支部もこのデモに参加、ライバルのMPF党首がハプニングに見舞われたのに対し「あのような問題を起こしたくなかったから、列の中にいた」とのこと。
共産党はFNと列を同じくするデモには不参加、極左は「政治的道具に利用したくない」と同じく参加せず。
また、人権保護団体MRAPは、MRFとFNがこのデモに加わると聞いて、事前に参加を取りやめました。「二つの極右組織の参加は、このデモの曖昧な性格と政治的道具化を浮き彫りにしている」とのこと。

しかし、この犯罪が人種差別的犯罪と断定できるのかどうか。
警察は、イラン・ハリミさんが死に到るほどの暴力を受けたのは加害者の顔を見てしまったからではないか、という見方を示しています。また、この犯行グループはその他にも誘拐や脅迫を企てたり実行したりしており、その標的はユダヤ人に限られていません。
ただし、「ユダヤ人だから金持ちだ」という先入観によってユダヤ人を狙ったと言われています。
事件を請け負っている予審判事は、反ユダヤ主義的な面をとりあげていますが、この先入観、偏見は、犯罪の唯一の動機ではないため司法的に人種差別的犯罪と分類できない、と検察局は示唆しているようです。
また、サルコジ内相は最初、反ユダヤ主義的動機による犯罪としていましたが、その後、全体的な動機でなかったにしても、動機の一部にそれがあるということは確かであり、反ユダヤ主義的犯罪だと言える、とちょっと修正を加えつつも方向性維持。

反ユダヤ主義とは、ユダヤ人に対する憎悪だと思っていたのですが、今回の事件の反応を見ると、どうやら違うらしい。
一体フランスにおける反ユダヤ主義とは何なのでしょうか。

今日のデモに参加し、言葉を求められた関係者は、反ユダヤ主義だけでなく、全ての人種差別に反対していると言及することを忘れませんでした。現在、フランスでは「反ユダヤ主義」という語が全ての人種差別を代表する語になってきているような印象を受けました。

そして、私の目には、国全体がトラウマに反応しているように見えなくもないのです。今回の事件が真に反ユダヤ主義的犯罪であったかどうかはあまり問題でなく、なにか反ユダヤ主義を想起させるものがあればそれだけで大規模なデモを行うのに足る、そういう敏感な反応のような気がしています。

参照:
Yahoo Franceより
「Politiques de droite et de gauche soudes en tete du cortege pour Ilan」 (AFP)
「FN et MPF à la manifestation pour Ilan: le Mrap retire son soutien 」 (AFP)
Le Mondeより
「L'affaire Ilan Halimi : l'enquete et la polemique」 (Chronique)
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